63話 : 少女の願いとカウントダウン ページ17
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｢へ？｣
非常時用ボタンを押して爆弾は止まった。
…………筈なのに。
『それを押したのか、鏡花』
電話越しに悪魔の声がする。
それと同時に、爆弾がビイイイイッッ、とけたたましい音を立て始めた。
『解除など不要。乗客を道連れにし、マフィアへの畏怖を俗衆に示せ』
与謝野の話曰く、あの爆弾は遠隔点火式。間違った方法で解除しようとすれば…………
(数秒でドカン…………！)
非常用ボタンを押したというのに、地獄のカウントダウンは始まってしまったのだ。
｢爆弾を外せ！｣
｢………………間に合わない｣
鏡花はぽそりと呟くと、敦の肩を勢いよく押した。
そして1歩、また1歩と電車の外へ後ずさる。
｢私は鏡花。35人殺した。｣
｢！｣
電話からの声にしか従わない夜叉白雪、自分自身で扱えない異能力、その能力を良いように使われて、人を殺す毎日…………。もう、限界だった。
“望みは言葉にしなくちゃいけない”という2人の言葉が頭から離れなくて。彼女は大きな目に涙を浮かべて訴えた。
｢もうこれ以上1人だって殺したくない｣
とんっと地面を蹴って後ろへ飛ぶ。
花から舞い上がる蝶のように、鏡花は静かに飛んだ。
｢鏡花さん！｣
Aが手を伸ばすも、もう届かない。
鏡花を嘆いて座り込むAの横で、敦が自身の足を虎化させる。
｢Aさんはここから動かないで。落ちないように掴まってて！｣
｢一体何を………………！｣
直後、敦は電車から飛び降りた。
下には大きな川があって、そこに向かって落ちていく鏡花の方へ手を伸ばした。鋭い爪が爆弾を彼女から引き剥がし、その爆弾を遠くへ放り投げる。
｢敦さん！｣
バシャン、と何かが水に落ちる音がして目を凝らす。必死で身を乗り出すけど、爆煙で何も見えやしない。そこへ、カツカツとヒールの音がして、Aの居る車両に与謝野が飛び込んできた。
｢お嬢！大丈夫かい？！｣
｢私は平気ですけど、敦さん達が………………ぁっ｣
｢ちっとも平気じゃないじゃないか…………｣
与謝野が来てくれて安心したのか、痛みや疲労が一気に襲ってきた。力なく倒れ込むAを受け止めた与謝野は、｢よく頑張ったんだねェ｣と微笑んだ。
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64話 : 幸せ、どろりと溶けて→←62話 : 貴女の心の声を聞かせて
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草華 - お話とても面白かったです😆続き楽しみにしています❗頑張ってください☺️ (2023年2月25日 20時) (
レス) @page47 id: dcb6064af8 (このIDを非表示/違反報告)
睡蓮。(プロフ) - 夢主ちゃんの恋愛好きなキャラが凄い好きです!!更新頑張ってください!応援してます!! (2021年8月5日 23時) (レス) id: ccbe99882f (このIDを非表示/違反報告)
まめこ。(プロフ) - 無気力に自信が有る人さん» コメントありがとうございます！私はアニメ勢で最近漫画を集め始めたんですが、敦と乱歩さん推しです^^* (2021年7月25日 11時) (レス) id: 4740a5bcfa (このIDを非表示/違反報告)
無気力に自信が有る人 - 凄く面白いであります！私、文ストの中で敦が最推しです！（アニメと漫画どっちもです！）まめこ。さんは誰推しですか？この小説書いてるってことは敦なんですか？更新頑張ってください！ (2021年7月24日 21時) (レス) id: 19b8beddf0 (このIDを非表示/違反報告)
まめこ。(プロフ) - がびさん» コメントありがとうございます！私あんま歌い手さん詳しくなくて同じにしたつもりはなかったのですが…そういう歌詞があるんですね！また聞いてみます^^* (2021年6月8日 12時) (レス) id: 4740a5bcfa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2021年1月21日 20時
