毒林檎 (ページ16)

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第十六話　T side ページ16

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大きなシャンデリアに部屋中飾られた豪華品の数々。

ど真ん中に置かれたソファに座っている藤ヶ谷さんにお辞儀をし、横尾さんに言われた通り簡単な自己紹介をすると“まあ座ってよ”と言われたのでゆっくりとソファに腰を下ろした。

『いやいや、こっちだって。』

早速機嫌を損ねさせてしまったのか、眉をひそめた藤ヶ谷さんは自分の隣を指で指した。

「…っ、はい、すみません…」

俺は慌てて藤ヶ谷さんの隣に座ると、藤ヶ谷さんは俺の顔をまじまじと見つめてきた。

『綺麗な顔…身体だって透き通るほど白いし、こんな綺麗なコ初めて見たよ。』

そんなに褒められると照れくさい。
藤ヶ谷さんだって俺と比べ物にならないくらい整った顔立ちをしているのに。

小麦色に焼けた肌も、男らしく逞しい身体も。
俺に無いものを持っている藤ヶ谷さんが羨ましい。

『あ、仕事内容だけど主に三つ。掃除洗濯、炊事ね。…あとは……俺を喜ばせる事も忘れないように。』

「…喜ばせる事、ですか？」

『うーんそうだなあ、例えば……』

“こんな事とか”と言いながらいきなり俺をソファに組み敷くと、腕を掴まれ頭上にまとめ上げられたかと思えば…

「んっ……ふじがやさ…んっ……」

荒々しく重ねられた唇。

突然の事に動揺を隠しきれない俺は、なけなしの力を振り絞り抵抗しようと試みるけれど。

『そんな力で俺に敵うはずないでしょ。
大人しく俺に尽くしてくれればいいの。』

…と、また唇を塞がれた。

わずかに開いた隙間から溢れる自分の吐息に耳を塞ぎたくなってしまう。

これも仕事のうちなんて……