毒林檎 (ページ15)

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第十五話　T side ページ15

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翌朝、俊くんから貸りた外用の服を着て指定された場所へとタクシーで向かうと、立派なお屋敷の前で停まった。

初めて目にする建物に驚きを隠せない俺は、そのまましばらく立ち尽くしていると、目の前に現れた一人の男の人が声を掛けてきた。

『貴方が玉森さんですか？初めまして、僕は藤ヶ谷様の執事をさせていただいております、横尾渉と申します。』

その人は名を名乗ると同時に深々とお辞儀をした。

俺は慌てて同じように名を名乗りお辞儀をし返すと、“どうぞこちらへ”と中へ案内された。

どこまでも続く長い廊下に、所々に飾られた調度品の数々。

一つ一つに感動していると、あるドアの前で止まった横尾さんは言った。

『ここが僕が仕えてる主人の部屋になります。簡単な自己紹介だけしてもらって、後は藤ヶ谷様の言う通りにしてもらったら構いませんので。』

では、と横尾さんが別の部屋へと行ってしまった。

慌てふためく俺は一旦大きく息を吸い、“失礼します”と震える声でそう言うと、ドアノブに手をかけ中に入った。