宮田くんと玉森くん (ページ16)

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その日はどうしても早く家に帰らなくてはいけなくて、
愛しいたまを置いて一足先に帰った、ちょうどその日。

まだ日も暮れてないからと、久々に図書室に寄って帰ると言ったたま。

そこでふたりは出会ってしまった。

……………

図書室に来るのなんて何ヶ月ぶりだろう。

放課後、宮田は用事があるからと先に帰ってしまった。

少し寂しいけどそんな時もあるよねなんて思いながらふらっと寄った図書室。

懐かしい本の匂いに包まれながら、大好きな小説家さんの本を一冊手に取り読み始める。

あまりにすんなりと入ってくるもんだから
気づいたら小説開いたまま寝ちゃってたみたい。

ふと顔を上げると、すぐ近くに見慣れない顔が此方を覗く。

じーっと俺の顔を見つめたまま、やがてその人は口を開いて。

『なぁ、君めっちゃ可愛い寝顔で寝てたで。
可愛すぎてずっと見てたわー。名前なんて言うん？』

初対面なんてお構い無しで、グイグイと詰め寄ってくるその人に思わず後退りしてしまう。

けどその人は俺を捉えたまま、気付けば俺の背は壁に付いていて。

「…玉森、です。」

恐る恐る名前を名乗ればすっと差し出された手。

『玉森くんか！俺は3年の濵田崇裕！
堅苦しいのは嫌いやから濵ちゃんって呼んでや。』

太陽のようにキラキラと輝く眩しい笑顔を向けられ、
俺はそっと手を握り返した。