103話 ページ11
今日はよくない日だ
ベッドから落ちて起床
時計の電池が切れてアラームは鳴らず
急いで家を出て忘れ物に気づく、これを2回
横断歩道は赤ばっかり
当然、女の子との待ち合わせに遅刻
カンカンに怒って帰って行ってしまった
「ハァ…、折角のデート日和なのに。
なんでかなぁ…。」
軽く走ったせいで汗は止まらない
取り敢えず休みたいなと思い、近くのカフェに入った
店員に案内された席に座り、メニューを開いた
「(なんか冷たいものでも頼もうかな…っと。)」
メニューを上から下へ目を通す
“今日のオススメ”にレモンティーが入っていた
偶にはいいかと思い、水を持ってきた店員に注文をする
かしこまりました!と可愛らしい声が返ってきた
「(1人でこうするのも悪くないかな。)」
そうして頬杖をつくと、ふと右斜め前の席が気になった
グレーの癖っ毛を一つに束ねている女性
本当であれば今直ぐ声を掛けに行っても良いのだが、どうやら先約がいるらしい
女性の目の前には男性らしき姿があるが、ちょうどその視線の先に大きな柱が立っていてよく見えない
「(彼氏持ちかぁ…、流石に手は出せないよね。)」
少し落胆するとひと口水を飲む
お待たせしましたーと店員が横を通っていった
その先はあの2人組
コトンとテーブルに置かれたのは大きなパフェ
フルーツがこぼれ落ちそうなほどに盛られ、トップにはハートの装飾が付いている
「でっか!!これが今流行りの映えってやつね!
これ写真撮った方がいい?いいわよね!」
きゃー!とひとりで盛り上がっているよう
カシャカシャと写真を撮り終えると早速スプーンを手に取った
「(な、なんか忙しい子だなぁ。
前の人はすごい静かだけど。)」
「美味しい!これは確かに人気になるわぁ。
ほら、ひと口食べてみて!
蓮!」
「…はっ?!!」
「お待たせしましたー!レモンティーでございます。」
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作者名:アニット9 | 作成日時:2022年12月25日 21時