火花壱 (ページ3)

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『一度、入ればもう二度と出られない。』

禍々しくそびえ立つ、朱家の本拠には奇妙な噂がある。

男たちは朝飯を食いながら、噂話にのめり込んだ。

男「なんだそれ、朱家って言ったら仙師のところだろ？

確か…仙門百家のような大きな家門ではないけど、

それに匹敵するくらいの期待された次期当主がいたとか。」

米粒が口から飛んだのを汚らわしいと顔を歪め、もうひとりの男は言った。

男「だけど、そいつが死んで上老が未だに当主の座を譲らないんだろ？」

男「若くして亡くなっちまうなんてな…

それより、その上老が死んだら誰が当主になるんだ？」

男「確か、何人か若様がいるらしいぞ。」

男「当主の座を狙って争いが起きないといいんだが。」

男「起こらないな、昔は栄えていたかもしれないが

今となっては栄光の面影もない朱家の当主がそんなに一大事か？」

湯を飲み干し、ため息を付いた。

男「お前がこの話をしだしたんだろ。」

その言葉に思い出したのか、男は躊躇するように目を泳がせた。

男「もったいぶるなよ、気になるだろ」

男「…俺もそんな話は嘘だと思ったんだ。

だけど、しかえていた女が忽然と消えたらしい。」

その話に男はぶっと笑いだした。

男「あはは、俺がそんな話に怖気づくとでも？

家に帰るのが嫌で、逃げ出したんじゃないか」

がたっと男は席をたった。

男「笑ってるのも今のうちだぞ。

その他にもあの家にはおかしな話があるんだよ」

男「おかしな話ってなんだよ。」

男は意を決したかのように口を開いた。

ー覚えてないのか？

一時期流行っていただろ？

数年前、朱家の女が首を切られて惨殺された事件だよ。

未だにその犯人はみつかてないし、他にも奇妙な出来事だらけだって。

…犯人は朱家の中のやつじゃないかって噂があるらしい。

あの家は呪われてるんだよ

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