偉そうなヤツ ページ1
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今日は会社の飲み会らしい。そういう行事が嫌いな私だが、同僚が行くらしいからついて行くことにした。
私はお酒が苦手だ。だから烏龍茶をずっと呑んでいて、酔わずに無事飲み会を終えることができたのだが。
「うっぷ…」
おそらく同じ会社の人で、今にも吐きそうな人が道端に倒れていた。紺色の髪の毛をした男性だ。他の人たちは酔ってるため、全然気にしてない。この人を助けられるのはおそらく私しかいない…だろう。
「あの…大丈夫ですか?」
勇気を振り絞って声をかけた。するとその男性は「大丈夫ばない…。」と死にそうな感じで私の方に倒れてきた。
そして数秒後、スースーと寝息をかき出したのだ。
「…どうしよう。」
流石に放っておけるはずもなく、私は少し同僚にも手伝ってもらって、その人を起こし自分の家に向かった。
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そしてやっとの思いで家まで運び終えた私は、ソファに彼を寝かした。この人、無駄に顔整ってんだよなぁ。とか思いながら寝る支度に取り掛かる。
「…!」
それからお風呂に入り終え、リビングに戻ったときだった。つけた覚えのないテレビがついていて、ソファにどかっと座っている男を見たときは目が飛び出そうだった。
さっきまであんなにやばそうだったのに、よくもまあそんなに普通でいられるな、と。
私が声をかけようとするよりも早く彼の方が口を開いた。
「おい、茶を出せ。」
…まるで意味がわからなかった。何故助けてあげた私がコキを使われているのだ。しかし一応客人だ、言われた通り茶を用意してる時に彼はまた口を開いた。
「俺を持ち帰りとは、いい身分だな。」
流石にこれには「は?」と言ってしまった。
「なんの勘違いしてるか知りませんけど私は酔い潰れた貴方を助けてあげたんです!放置しとくのもまずいと思って仕方なく家に入れたんです!」
やってしまったと思った。でもそれ以上に言ってやったと思った。
彼は唖然としたように私を見る。
そして数秒後、急に私のところに近付いたと思えば、私の腕を引いてきた。私は思わず体勢がよろけて、彼の上に被さる状態になった。
「…!」
「お前は俺を助けてくれたのか…?」
あまりに近すぎる。性格はクズかもしれないけど顔が良いから思わず照れてしまう。私は無言で頷いた。
「…そうか、勘違いしてすまなかった。」
そう言って彼は私の腕を離し、自分の荷物を持って家を後にした。
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にぃ - とても面白いしキュンキュンしました。これからも面白い作品作ってください。 (2020年8月23日 21時) (レス) id: e653c86382 (このIDを非表示/違反報告)
陽渚(プロフ) - 面白かったです!他の作品も読ませてもらってます!頑張ってください (2020年8月4日 22時) (レス) id: 0a67e21c60 (このIDを非表示/違反報告)
ぬん(プロフ) - Regulusさん» ありがとうございます!!そう言っていただけると心からかいてよかったなぁと思います!次回作も是非見てみてください!これからもよろしくお願いします! (2020年4月4日 22時) (レス) id: 2ea5b93c28 (このIDを非表示/違反報告)
Regulus(プロフ) - 完結おめでとうございます(*´▽`*)とても楽しませて頂きました!次回作も楽しみに待っていますo(*⌒―⌒*)o (2020年4月4日 14時) (レス) id: 9c91fd3a1d (このIDを非表示/違反報告)
ぬん(プロフ) - 月花さん» ありがとうございます!そう言っていただけると書いてよかったなぁと思います!本当にありがとうございました!! (2020年4月2日 23時) (レス) id: 2ea5b93c28 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぬん | 作者ホームページ:http://urana
作成日時:2020年3月27日 22時