【黒バス】光のさす場所に、私はいけない

第31話 喜んでもらえますか？ ページ37

「ドリンクお待たせー！」



体育館に入り、美羽先輩が大きな声で呼びかける。
もうすでに休憩に入っており、待ってましたと言わんばかりに選手たちが寄って来た。



バスケ部の人たちは誰もが高身長。
なので、近寄ってくる時の威圧感がすごい……。



「今日も黒谷センパイが作ったんスか？」

「少しだけね。今日はAちゃんも作ってくれたのよ？
誰がAちゃんお手製ドリンクを取るかしら。」



黄瀬さんに問われ、即座に返事をする美羽先輩。
私の肩に手を回し、ニッコリ笑顔で返答する。



私が作ったって言ってましたけど、ボトルに水汲んだだけ……。



「え……マジっスか。」

「？何か問題でもあるかしら。」



私の名前を耳にした途端、黄瀬さんは顔色を変えた。

まるで、絶望といった感じの……。



私はそんなに信頼されてないのかな？
確かに、今日初めてきて初めて話した人もたくさんいるし。



美羽先輩に比べたら、信頼度が薄いのはわかってる。
薄焼き卵並みに薄いのは十分にわかってる。



でも、そこまで露骨に嫌そうな顔をされるとさっきつけた自身が何処かに行ってしまいそう……。



水入れてるだけなんだから、そんなに疑わなくてもいいじゃないですか。



「安心しろよ黄瀬。Aはさつきみてーに変なもん入れたりしねーよ。
むしろ料理はうまい方だぜ。」

「え……。」

「そうだったんスね！良かった安心したっス。」

「ちょっ、二人ともそれどーゆう意味？！」



謝ろうとした瞬間、青峰君からフォローが入った。
……私、朝あんな態度とったのに。



さつきの件ですっかり忘れてたけど、私青峰君と気まずいままだったんだ。



あんな態度とったのに、私のフォローしてくれるなんて思ってなかった。
昔から、そんな優しさあったよね。



少しだけ自分の気持ちを伝えるのが苦手で、ぶっきらぼうで不器用で、だけど割と誰よりも優しくて……。



ちゃんと、青峰君に謝ろう。

でも、その前にちゃんと仕事できたか確認しなくちゃ。



「あの、何かドリンクに不具合などありますか？」



恐る恐る、聞いてみる。
こんなに大勢の前で喋るなんて、何年振りだろうか。



怖すぎる。



「良いんじゃないか？」

「少なくとも、さっちんよりはマシ〜。」

「ちょっとさっきから私へのいじりすごくない？」



さつきは今まで何をしてたんだ……。

でも、みなさんに喜んでもらえたなら、嬉しい限りだ。

第32話 お誘い→←イメ画

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す