ポイズンベリーの哭き声【朔間凛月】

悲劇のヒロインの朝食 ページ1

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青天の霹靂や嵐の前の静けさ、
という言葉があるように。

大きな不幸は平和の隙間に、
今もこっそりと息を潜めているかもしれない。



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6日ぶりに取れた休日。
お家でだらだら映画でも観よっかなー、ポチりとテレビを付けたら木苺たっぷりのタルトが紹介されてた。



わ、食べたい。どこどこ？
家から2つ先の駅近く。
行けない距離じゃないし行こっかなあー、
ちょうどティッシュ切れてたんだっけ、
買い物ついでに寄ろう。



ファンデをふんわり顔に乗せて、
秋色のボルドーリップを口に引いたら、
鏡の奥の寝惚けた顔が少しシャキッとした。



それから仕上げにと、ピンクサファイアが中心で控えめに光るネックレスをかけて外に出る。
先月の誕生日に彼氏からのプレゼントで貰った、唯一無二の、大切な大切な贈り物。




「そうだ、リョウタローにもケーキ買お！」




彼氏のリョウタローは、生クリーム盛り盛りのパンケーキをおいしそうに頬張るし、行列のタピオカ屋さんに並んだりするほどの甘党だから喜んでくれる……はず、きっと。



今日は仕事みたいだから、
終わる時間くらいに家に寄ろうかな。
ふふふ、とだらしない笑みが零れたけれど、
周りの目も気にならないほど有頂天だった。




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