生きたい彼女と死にたい彼。 (ページ18)

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なんとか意識を安定させ、症状が落ち着いた頃には

病院に逆戻りしてベッドの上。

何に効くのかよく分からない点滴が管を伝って流れてくる。

呆気なく1日検査入院となってしまった。

「落ち着いた、？」

学校への電話を終えて戻ってきた母が

すごく不安そうな顔で訪ねてきた。

『お母さん、ごめんねびっくりさせて』

ベット脇の椅子に腰を下ろした母に不意に頭を撫でられ、視界が歪む。

「お母さんは大丈夫。怖かったね」

視界の歪みは大きな雫となり、泪として零れ落ちた。

母の前で泣くのは何年ぶり？

中学3年の受験に受かった時だったかな。

違う事を考えてみても

恐怖から安堵へ変わった心情を表す涙は抑えきれない。

今にも壊れて落ちそうな吊橋を

ゴールが見えないまま歩き続けていて、

さっきは足元の板が崩れて間一髪落ちずに済んだ。

というところだろうか。

私は病気とわかって初めて泣いたのと同時に、

初めて死ぬのではないかと不安に襲われた。怖かった。