無色の子 【呪術廻戦】弐

漆拾玖 ページ40

ホテルに入っているレストランでおいしい晩餐をとり、部屋に戻った。

フレンチのフルコースで美食の塊と言わんばかりの食事をしてきたが、私は正直なところ、大衆食堂的な店の味の方が好みだった。

高専卒業して暇になったら中国かトルコに行こうなんて思いながら一応日本から持ってきたドレスを脱ぐ。

私はこんなにきっちりした服の美食よりも、ド〇キのスエットでおいしく食べられる料理が好きだ。

しかしそれにしても暇だ。

普段の私が忙しすぎるのかもしれないが、こうしてやることがないとうずうずしてしまう。

日本から持ってきた本を読んだり、ゲームをしてみるが、あまりしっくりこない。

何かやることがないかと辺りを見回していると、靴が目に入る。

仕込み刀の手入れがあった！！！！！！とテンションがすごく上がった。

それはまるで「とった！ おねえちゃーん！」と両手を合わせてバタバタと走っていった国民的アニメの幼女のテンションだった。

靴を分解し、部品が壊れていないか確認して、刀を研ぐ。

ホマレさんではないので、そこまでうまくはないが、切れたらいいのだ。

マック□ク□スケ出ておいで。出ないと目玉をほじくるぞ！！のあのテンポで仕上げるとうまくいくため、歌いながら作業する。

すると突然電話が鳴った。

「もしもし？」


「〈やあ、A。

そっちはどうだい？〉」

「夏油じゃん。

惰眠を謳歌してるよ。

呪霊も弱いし、数も少ない。

ゆきさんが任務さぼって海外行く理由がわかるよ。」

「〈そうか、楽しそうで何よりだよ。

ところで海外行くなら私達にも言ってほしかったな？〉」

「…あれ？

言わなかった？」

「〈まだ日程が決まってない時に言ってたね。〉」

「マジ？

知らなかった？」

「〈ああ。〉」

「まじか〜。

ごめんね、悟うるさかったでしょ。」

「〈本当に大変だったんだ。

俺も見送りしたかったとダダはこねるし、護衛対象にきつく当たるし。〉」

「星漿体の任務だっけ？」

「〈そうだよ。〉」

「にしてもにぎやかだね。

波の音が聞こえるんだけど、海にでもいるの？」

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