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翌日、Aは生徒会室に足を運んでいた。時刻は放課後。
「なに、入らないの?」と自分を見下ろす月島を、Aは「は、いるけど」と見上げた。
Aは心の準備中なの、と言い訳して深く息を吸い込む。
「し、失礼します」
重々しい扉のドアノブを回して押す。山口は少しでも重さが軽くなるようにと、片手でそゆなAの補助を行った。
「?あれ、珍しいお客さんだね」
及川がいない。その代わりいたのは黒髪で癖っ毛の、落ち着いた雰囲気のある男。Aは予想外のことにふっと肩の力が抜けた。
「及川さんっていらっしゃらないんですか?」
「ああ、俺も今日は見てないな。でもあの人、この時間なら訓練室にいるんじゃない?」
「訓練室?」
Aはコテンと首をかしげた。松川や花巻ならともかく、Aは及川が武器を振り回しているところを見たことがない。
「基本的に魔法中心で戦う人だけど、結構なんでもできるよ、及川さんは。で、及川さんにようだっけ?ここでまってたら。月島と山口も」
彼、赤葦は慣れたように4つカップを取り出した。「ゆっくりしてって」という言葉には落ち着きがあり、Aは安心する。
友好的でも攻撃的でもない、中立。赤葦はその部類だろう、と。
「いえ、お構い無く」
「いいよ、遠慮しなくても。話相手になってよ」
そう言われてしまえば断る理由もない。「ん、座ってて」と言う赤葦に、月島と山口はそれぞれお礼を口にしてソファーに腰かけた。Aも「失礼します」と一言断って、月島の横に腰かける。
「逆崎、であってるよね。俺は赤葦京治。一応書記。よろしく」
「赤葦さん。はい、よろしくお願いします」
Aは確認するように口に出してから、いつも通りの笑みを浮かべた。
「にしても意外だな。月島と山口がこの子と仲良しなんて。入れ込んでるの?」
「わ、赤葦さんそれ普通私の前で聞きます?」
「別に」
「傷ついた」
Aは少しムッとして、目の前に出されたお茶にいただきますと口をつける。「ジョーダン」と月島にデコピンされ、山口は苦笑していた。
「ふーん。なるほどね」
「なにか納得する部分が?」
「月島が珍しく君を気にかけてるなと思って」
赤葦は表情を変えない。「普通です」となんでもない風にいう月島に、Aは「仲良しです」とゆるく笑った。
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R(プロフ) - めっちゃおもろいです…更新、待ってます🙇♀️ (2月25日 1時) (レス) @page35 id: a38d8c3d1f (このIDを非表示/違反報告)
ワグマン - パロ系あんまり好きじゃなかったんですけどこの話読んでめっちゃ好きになってしまいました!!更新頑張ってください(*- -)(*_ _)ペコリ (2020年8月4日 21時) (レス) id: d570b5d827 (このIDを非表示/違反報告)
あーさん(プロフ) - すっごく面白くて一気読みしてしまいました…!ダークな雰囲気が根底にある設定大好きなのとバトルシーンもワクワクします。もう本当にツボです…!笑 これからも応援しています(o^^o) (2020年6月5日 9時) (レス) id: 19c0d362e8 (このIDを非表示/違反報告)
える(プロフ) - 咲夜さん» コメントありがとうございます!気ままな更新ですがどうぞお付き合いください(*^^*) (2020年4月29日 13時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
咲夜 - 面白いです(* >ω<)。更新頑張ってください。続きが読みたいです(*- -)(*_ _)ペコリ (2020年4月29日 13時) (レス) id: d570b5d827 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:える | 作成日時:2020年3月13日 15時