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この闘技場に足をつけている以上、脱落は他人事ではない。ボコリと突如へこんだ足元を見てすぐにそう理解した。
「俺はエースになあーる！」
威勢のいい声に顔をあげる。そこらじゅうの地面が不安定に変形し、その中心には声の主であるだろうパッツン前髪の生徒が立っていた。
「うっわっ」
思わずバランスを崩す。ぐにゃぐにゃとした地面は多数の人の体を飲み込んでいき、皆もがけばもがくほど、深く沈んでいく。
底なし沼、と表現するのが適切だろう。
「よっ……と」
グイッと後ろに手を引かれた。「隣の」否、隣だった男の子。振り返った私に、彼は表情も変えずに言う。「体、支えてくれてたからね」
パチクリ、と思わず目を瞬かせた。どうやら講堂での事に気づいていたらしい。「まあ、助かった」と彼はお礼を付け加えた。
「こっちの台詞。ありがとう。えーと……」
「国見英」
「国見君。私は逆崎A」
「ん」
ストン、とおろされたのは地面ではなく彼の魔法の上だった。シールドの応用だろうか。ちょっとやそっとじゃ割れそうもないそれに感心する。軽くジャンプしてみても、壊れる様子はない。
クルリと辺りを見渡すと、先程の地面の魔法と球体の魔法で既に半分以上が戦闘不能な状態だった。「チートかよ」と思わず口にすると彼も同意するように頷く。
「逆崎はどんな魔法使うの」
「なんも」
「よく受かったね」
「運が良かったのかも」
「運ねえ」
「よかったら共闘でもしない？ほら、運が良ければ生き残れるかもしれないし」
「のった」
走り出す。道を作るように彼のシールドが先へ先へと伸びた。シールドは初級魔法だというが、生成の速さと量を見る限り、彼は相当優秀なのだろう。
耳元で風を切る音がうるさい。バサバサと風になびく少し伸びた髪が邪魔だった。
「わ、アンタ小さいな！」
「小さくないっての」
目の前に立ちふさがったグレーの髪の長身に目標を決める。整った外国人顔。長い手足が特徴的だった。
ぐっと足に力をいれて回し蹴り。小さいというかお前がでかいんだよと私情を交えて、避ける様子もない彼の腹の辺りにいれる。
が。
「ざーんねーん！」
「本当、あたり悪すぎだわ」
パシャリと水が飛び散る。手応えはない。嬉しそうに残念と笑った彼に思わず冷や汗を流した。
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える(プロフ) - 汐見さん» コメントありがとうございます！賛否ある設定の物語ですが、そう言っていただけて幸いです(*^^*)これからもよろしくお願いいたします (2020年3月1日 11時) (
レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
汐見(プロフ) - 初見です！とても面白かったです！更新頑張ってください！ (2020年2月29日 16時) (レス) id: dc0ff62b63 (このIDを非表示/違反報告)
える(プロフ) - 凜乃さん» ありがとうございます！長編の予定ですので、ごゆるりとお付き合いください。わざわざコメントありがとうございました(*^^*) (2019年12月12日 21時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
凜乃(プロフ) - 毎回とても楽しみにさせて頂いてます。更新頑張ってください (2019年12月11日 23時) (レス) id: 8218d9be2f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：える | 作成日時：2019年12月4日 17時
