クルミの冒険ー真実を求めてー (ページ6)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:806 hit

1章 5節目霊体の少年ページ6

｢ぎゃぁぁあああああ！！！？？｣
『うわぁぁぁぁぁ！？』

クルミッシュは絶叫して飛び退く。
その声に驚いてか、少年も飛び退いた。
誰もいない花畑に音もなく、しかも目の前に現れたのだ。驚かない方が珍しいだろう。
しかもこの少年…よく見ると体が透けている。
俗に言う『幽霊』というやつなのだろうか。
｢ア、アナタ誰デスカ…！！クルミニ何カ用デスカ…！！｣
驚きのあまり片言になりながら、クルミッシュは蹴る構えをする。
少年は焦ったように両手を上げる。
『あわわ…！？ぼ、僕は怪しい者ではありません…！え、えっと…安心出来る幽霊です！』
｢安心出来る幽霊って何！？胡散臭い上に怖いんだけど！？｣
クルミッシュは構えを崩さなかったが、ふと我に返る。見た目は8歳程の弱々しい少年だ。
そんな少年相手に霊体であるとはいえ本気で警戒心剥き出しで叫んでしまった事に恥ずかしさを覚え、構えた体勢を崩し、その場で正座する。
｢…ごめん…取り乱しちゃった…｣
『い、いえ…気にしてませんので…』
少年はちょこんと目の前に正座する。
改めて、少年の姿を見る。
少年はボロボロの1枚布を身にまとっており、足には鎖がついていた。
捕まっていた子の霊なのだろうか？
｢ねえ、貴方はなんて言う名前なの？出身は？｣
敵意がないと確信したクルミッシュは、少年について聞いてみる事にした。
『そうですね…名前はないのです。ですが、名前が無い、から『ナナキ』と呼ばれていました。出身は…ややこしいので今は伏せておきます』
ナナキ、という少年は苦笑いする。
｢そっかぁ…まあ、言いたくない事もあるもんねぇ｣
クルミッシュはそう言いながら、花摘みを再開する。
ナナキは花を摘むクルミッシュをじっと見つめる。
『誰かへのプレゼント…ですか？』
｢うーん、プレゼントというか…脅し道具？｣
『おどっ…！？花で脅すのですか！？』
｢うん！花を渡して油断したところを、こう…グワッと！｣
『ぐ、グワッと…』
ナナキは口に手を当てアワアワしている。
クルミッシュはそんなナナキの姿を見て、クルミッシュはピンと閃く。
｢あ…そうだ！！｣
『？どうされました…？』
｢ねえ！ナナキくん！｣
『は、はい！？』
クルミッシュはグイッとナナキに詰め寄る。あまりの圧に、ナナキは若干身を引く。
｢貴方霊体なんだよね！？師匠、霊が大嫌いなのよ！ちょっとついてきてくれないかな！？いい脅し道具になるから！｣
『え、ええええ！？』
ナナキは驚きのあまり叫んだ。