クルミの冒険ー真実を求めてー (ページ4)

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1章 3節目偽りの記憶ページ4

｢『ルシフェル』…｣

ニコラスとブウェルガは顔を見合わせる。

『ルシフェル』という天使など、この世には存在しない。…と、なっている。
ニコラスとブウェルガは、ルシフェルという存在についてよく知っている。
というのも、ニコラスやブウェルガ達英雄が戦ったのは、実はガレリアンだけではない。
クルミッシュがいう『ルシフェル』とも戦っているのだ。

ルシフェルがガレリアンと手を組み、ブウェルガを神性クトゥルフへと変え、この世の全てを真逆にしようとしていた。ニコラスやブウェルガは仲間と共にその野望を阻止しようと戦い、その中でガレリアンとヴィヴィエルが一騎打ちとなったのだ。
ニコラスと契約していた、今は『存在していない』事になっている悪魔、ルシファーが『二度とサタンが現れないように』と特定人物を除き全ての人の記憶を改ざんし、書き換えたことから、その真実を知る者はニコラスとブウェルガを除いて3人しかいない。

そしてその中に、クルミッシュは『入っていない』のだ。

何故真実を知るはずのないクルミッシュが、夢としてその真実を見ているのか…
ニコラス達には理解出来なかった。
｢…ねえ、お兄ちゃん。何か知っているんでしょう？｣
クルミッシュは立ち上がる。
そして、バンッ！と机を両手で叩き、ニコラスとブウェルガに詰め寄る。
｢顔を見合わせたってことは、知ってるんだよね？この夢のこと！ねえ、これは何なの！？
この天使は誰なの！？ルシフェルって誰なの！？｣
興奮状態のクルミッシュに、ニコラスは内心焦る。
｢く、クルミちゃん落ち着いて…僕達は何も知らないよ。驚いて顔を見合わせただけだよ…｣
｢嘘つかないで！！｣
クルミッシュは拳を握る。
｢あの戦いからずっと、違和感を感じていた…。クルミがいた場所はグレイル教団。何かを信仰する軍団。でも…何を信仰して、存在していたのか思い出せない。もし…もしそれがあの夢に出た『天使』なら…クルミの記憶にある『戦い』と変わってくる｣
｢クルミ…｣
ブウェルガが何かを言いかける前に、クルミッシュは2人から離れ、扉に向かう。
｢ご馳走様でした。…クルミ、やることがあるからもう行くね。…違う。きっと…何かが違う｣
｢クルミッシュ！｣
ブウェルガの声を無視し、クルミッシュは走って外へと出ていってしまった。
｢…ブウェルガ…｣
｢…ややこしくなってきたな…クソ｣
ニコラスとブウェルガに嫌な予感が走る。
しかし、2人は彼女を追いかける事が出来なかった。