240メートルの誤算5【佐野玲於】

起きとけよ ページ15

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翌日、午前中
仕事の合間にスマホを見ると、Aからラインが届いてた。


[ 玲於くんが行ったの気付かなかった〜朝ごはん作れなくてごめんね ]


そして、キャラクターが泣いてるスタンプ。
いいよいいよ、起きれなくて。
最後じっくり寝顔見て出たから。
ついでにちょっとだけ、ちゅーしたし。


[ いいよ、レジ打ちでお疲れのご様子なので。 ]
[ バカにしてるじゃん〜 ]
[ してねえ。今日もいきます ]
[ 何時くらい？ ]
[ 遅いかも。ギリ日付越えないくらい ]
[ 寝ないで待ってるね ]
[ 寝てたらマジで怒る今回はマジ ]


もうお預けは勘弁だぜ
よっしゃーって、気合を入れる。
突然大声出した俺を、メンバーみんな不審そうな目で見てきて


「なに…？こわい…」
「気合じゃん。早く終わらせよ。」
「最近ほんま調子ええなあ。腹立つわあ。」
「なんでよ。笑」


そりゃー調子も良くなりますわ。
なんてにやにやしてたら、俺以上ににやにやしてる龍友くんが近寄ってきて
こっそり耳打ち。


「さくらちゃんやろ。」
「…ちげえよ。」
「照れ隠ししてんの玲於ちゃん。」
「してねえ、マジで違う。さくらちゃんとは普通の友だちになった。」
「その言い方、今までが何友だちやったんか気になるけどな。」
「いいから、」
「ほんなら何？まさかあの元カノ…」
「……。」
「は？え？ほんまに？俺完全に冗談のつもりやってんけど。」
「いいってもうハイハイ、この話終わり。」


終わらん終わらん！って、関西人のねちっこい尋問は続く。
龍友くん、アンチAだからなあ。


「なにがどうなってこうなったらそうなんねん。」
「…うるさすぎる。」
「浮気されんでまた。」
「違ったの、全部俺の被害妄想。」
「嘘やん。」
「ほんまやで。」


逐一話すのは面倒で、ひとり席を立った。
廊下出て、自販機で水を買う。
いいのいいの
全人類、Aのこと嫌いになればいいよ。
いやマジで。



その日、仕事を終えた後
前の現場で仲良くなった子たちと久々に会って、メシ食った。
店出て帰ろうと思ってたけど、二軒目に行こうって盛り上がった空気から抜け出せず、困った。
…帰りてえなあ


「玲於も行くでしょ！」
「…あー…」
「ほら早く〜」


腕時計はもう、23時を指していた。
…ああもう、クソ


「行くけど俺1時間で帰るわ。」
「はあ？1時間？」
「それは却下で！」
「頼むって、明日早いから。」


Aにこっそりラインした。
[ ちょっと遅くなるけど起きとけよ ]

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