240メートルの誤算4【佐野玲於】

人違い？ ページ25

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次の日
早朝からメンバー3人でロケ。
移動が長くて、かなりキツかった。
もう15時になってる。

「もー俺キツいっすよ…腰痛いし。」

俺より一歳下のマネージャー
ネクタイ緩めながら文句言ってる。

「お前が文句言うな。」
「すみません…」
「もう都内入ったから、頑張りや。」
「ほんと元気っすね皆さん。今からまた収録なのに…」
「まあ慣れてるからね〜体力はあるし！」

亜嵐くんのそんな言葉に力なく頷いたあと
空になったペットボトルを膝の上で転がした。
…ほんと手かかるな、コイツ。

「あの運転手さんすみません、どっかコンビニとか寄ってもらっていいっすか。」

そう言った俺のこと、マネージャーまん丸な目で見てきて。

「外の空気吸ってきなよ。ついでに水買ってきたら？」
「…玲於さん優しすぎます…」
「でもお前時間ないからタラタラすんなよ。」
「はい！」

一気に元気になったな。
コンビニ駐車場無かったから、脇道入ったところのスーパーに寄ってもらった。
スモークかかった窓から、ぼんやり外を眺める。
…ここ、Aんちの近くだなあ


2分と経たず、マネージャーが走って戻ってきた。
勢いよく開けられたドア。
抱えていたペットボトルが落ちた。

「え、バカ？なにやってんの。」
「急げとは言ったけどそんな慌てなくていいよ。笑」
「いや違うんすよ、玲於さんあの、」

拾い上げたペットボトルをまたキツく抱えて
息切れしながら、一本ずつ俺らにも渡してくれる。

「ありがとー。気利くやん。」
「いやあの！玲於さんの元カノが、」
「え？」
「前写真見せてもらったあの子ですって、絶対！俺もうびっくりしちゃって。」

俺には、マネージャーの言ってることが理解できなかった。
…A？

「…え、なに？え…いたの？買い物してた？」
「いや違いますよ、レジです。ほらこれ。」

言いながら渡されたレシート
見たら、Aの苗字が書かれてあった。
…どういうこと…

動き出した車
慌てて店内覗いたけど、よく見えなくて。
人違いだよね？
だってあいつは旅行代理店で


「すみませんあの、運転手さん、何度も申し訳ないんすけど…この道真っ直ぐ行ってもらって、えっと…どこだっけ、あ、あのでっかい公園の裏の道を、」
「え、玲於なにどうした？」
「ごめんすぐ済むから、」
「いやけど次の現場…」
「すぐ済むって、頼む。ごめん。ごめんなさい。」


みんな呆然としてる。
俺だってよく分かんねえ。
でも、気になって仕方なかった。


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