240メートルの誤算4【佐野玲於】

嘘だろ ページ23

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翌朝
目が覚めて体を起こす。
あれ、まださくらちゃんいる。
時計見上げると、まだ4時過ぎ。外も暗い。

隣で寝てるさくらちゃんを起こさないように
そっとベッドから降りた。
寝室から出てシャワーを浴び、リビングに出る。
水飲んでたら、ドアが開いて


「…おはよ。」
「あ、起きた？」
「うん。わたしも水欲しい…」

眠そうな顔でそう言いながら、俺が持ってたコップ手にとって、残ってた分を飲んでる。
その横顔、かわいいなあって思わず見つめた。
朝からこのクオリティ？すげえ

「…もう家帰るでしょ。」
「うん帰る。」
「ん。」

ソファーに座った。
テーブルの上に置いたままだったスマホを手に取る。
ホーム画面に届いてる通知をスクロールしながら見ていく。
ラインが数件、ツイッターにインスタ
そして

A
不在着信

そんな、文字。
息が止まった。


「玲於くんシャワーだけ借りても良い？」
「……。」
「…玲於くん？」
「……。」
「…どうしたの…？」

さくらちゃんが俺の隣に座って、スマホの画面を覗き込む。
驚いたように俺の方振り向いて

「Aって元カノじゃないの。」
「………え、まって…」
「これって昨日の夜来てた電話のこと？わざと出なかったやつ…」
「……まってよ…」


なんで
嘘だろ、嘘って言ってくれ。
俺、頭から追い出してたんだよ、Aのこと。
思い出さないように必死で
苦しくなりたくないから。それなのに。

電話？なんで
あいつまだ俺の連絡先消してなかった
なんの用があった？
もしかして何か緊急だった？
ラインじゃなくて電話って
でも不在一件しか来てないし、ほかには何も
待ってよ。なんで出なかったんだ俺
誰からの電話かくらい、確認しろよバカ
ああもうほんとに待って
なんでお前はいつもいつも、こうやって俺のことを


「玲於くん！しっかりして、こっち見て！」

さくらちゃんの声で我に返った。
意味わかんない感情で、頭が埋め尽くされてる。
さくらちゃんを見ると、おっきな目がじぃって俺を見つめて


「かけ直しなよ、いま…はちょっと朝早すぎるから、あとで、絶対。」
「…え、けど」
「けどじゃないじゃん。そんな後悔した顔してるのに、このまま放置でいいの？」
「……。」
「…正直言うと、浮気したのはAちゃんのくせに今さら何？ってちょっと怒ってるけど、わたし！でも、やっぱ玲於くん好きなんじゃん、まだ。」


さくらちゃんの口調が、いつもと違った。
頷くことしかできなかった。

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