覚えてる？ ページ8
＊
今思えば、このあたりがいちばん幸せだったかなあ。
初々しい、出会ったばかりのわたしたち
それに比べて今
慣れちゃって、空気になって
「ねーAって。聞いてる？」
「…聞いてるよ。」
「そっち敵いるよ、銃声聞こえたでしょ。」
「うん、…ねえ、スポドリちょうだい。」
「えぇ、俺もあと2個しかないのに。まあいいや全部あげる。」
狭いベッドにふたりで寝転んで、携帯でゲーム
枕元に転がってる目覚まし時計は、もう2時を指していた。
「…玲於くん、」
「ん？…あ、クソ、当たんなかった。」
「ねえ、覚えてる？」
「覚えてるよ。お前がさっき瀕死の俺を見捨てたこと。」
「もお、ゲームの話じゃないよ。」
「じゃあ何？」
部屋に響く、銃声と足音
もちろんゲームだけどさ
はあってため息ついて、口を開いた。
「わたしたちが、どうやって付き合い始めたか。覚えてる？」
「はあ？」
「あのときも、2時だったから。」
「そうなの？記憶力やば。…え、あと4人だって、どこいる？」
「六角かな、上から行ってみる。」
「うん。…で、なんて？どうやって付き合い始めたか？」
「うん。」
「覚えてるよ。余裕で。」
ほんとに？って言ったら、うんって
なんか嬉しい。
「しょっちゅう会ってたよね。お前が大学生のとき一人暮らししてたアパートで。」
「そう。」
「でもまあ、健全に。俺すごくない？何も手出さなかったでしょ。」
「初対面では出したのにね。」
「それはカウントしないでよ。」
「するよ。」
「すんなよ。」
「それで？」
「あー、なんだっけ。あ、そうだ。お前が会いたいよーって泣いてたから、夜中に会いに行ってあげて、」
「泣いてなかったよ！」
「半べそかいてたじゃん。」
「そうだっけ。」
「うん。それで、彼女じゃないくせにワガママすぎるって怒ったら、」
「すご、ほんとに覚えてる。」
「じゃあ彼女だったらいいの？って言ってきて。」
「うん。」
「いいよって言ったら、彼女になってもいい？って聞くから、うんって答えた。おわり。」
言い終えたタイミングで、ゲームも終わった。
もちろん一位
満足して、携帯を置く。
「…嬉しかったなー、あのとき。」
「……じゃあなんで別れたいなんて言うの。」
…前置きが長くなったけど
このお話は、これが本題。
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Tatsumi(プロフ) - 初めまして！ただいま、初恋一目惚れして、きなこさんの作品を読ませていただいています。こんなにしっくりくる玲於くんは初めてで、主人公ちゃんのキャラも好きで、今やきなこさんの作品や人間性に惚れ込んでいます。沢山の素敵な作品をありがとうございます！ (2020年3月27日 10時) (
レス) id: ec055f32e6 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - きなこさんのお話全部読んでます！！パスワードかかってるやつ昔読んだのですがまた読みたいので良ければパスワード教えて欲しいです！ (2019年10月6日 12時) (レス) id: 5014defe8e (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか(プロフ) - まってました！きなこさん！おかえりなさい！！！楽しみにしてます！ (2019年10月2日 7時) (レス) id: b214cb1e69 (このIDを非表示/違反報告)
ChuRa(プロフ) - ハイスピード大歓迎です！きなこさんの書かれる佐野玲於くんが大好きです。更新楽しみにお待ちしております。 (2019年9月26日 12時) (レス) id: 6da9a38d0b (このIDを非表示/違反報告)
ゆりこ - 待ちきれないので毎日更新してください！！！！ (2019年9月26日 1時) (レス) id: cb039e5484 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きなこ
| 作成日時：2019年9月13日 21時
