本気？ ページ36
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次の日の朝
アラームの音に目を覚ますと、すぐ隣に玲於くんの横顔が見えて
…腕まくら…痛くなかったかな、悪いことしちゃった。
ごめんね、なんて呟きながら身体を起こし
少し赤くなってるその二の腕を撫でた。
そのとき薄っすら、玲於くんの瞼が開いて
「……なにやってんの。」
「…おはよう。」
「…おはよ。」
「腕、痛くなかった？ごめんね。」
「ん？…あー、平気平気。」
「……赤くなってる。」
「……平気だって。」
言いながら、わたしの腕を引いて
また さっきと同じ体勢。
でもそれよりもっと、ギュって抱き寄せられる。
その拍子に玲於くんの指が耳に掠って、爪が、当たった。
「あ、ごめん痛かった？」
「…ううん、痛くない。」
「わりと引っ掻いたよ多分。」
「平気だよ。」
さっきと会話逆になってる。
なんて思ってちょっと笑いながら、玲於くんの胸元に顔を埋めて、すぅーって 息を吸い込んだ。
「……寒くね？」
「…あったかい。」
「…そ？」
「うん、……仕事行きたくないな。」
「……辞める？」
「…辞めちゃいたい…」
「……辞めたら、一緒に住むか。」
「…本気？」
「……本気って言ったら、辞めんの？」
「…辞めないかな。」
「だろうね。」
…だろうね、って
本気じゃないのはそっちのくせに。
「…そろそろ起きよう、玲於くんもお仕事でしょ。」
「…今日午後からなんだよ。」
「そうなの？」
「うん、だから、もうちょい。」
ぎゅうって強く抱き寄せられて
息ができないくらい。
さっき爪が当たったところ、優しく撫でてくれてた。
くすぐったくて身じろぎすると、狭いんだから動くな、なんて怒られる。
「…ベッド大きくしたいけど、この部屋に入んない…」
「…入んないかな。」
「入るかもだけど、ベッドだけになっちゃう。」
「……いいよ、べつに。」
…いいのか。
まあ、そうだよね。
わたしはくっついて寝るの好きだけど
玲於くんはうちに寝に来てるようなものだし
それならもっとゆったり寝たいよね。
この部屋が窮屈になろうと関係ないか。
幸せな朝だったけど、ちょっとヘコんじゃって
でもヘコんでるのばれないように、時計確認して、あーもうこんな時間だって わざとらしく呟く。
そのあと、朝ごはん作るって起き上がったわたしを
玲於くんはぼおっとベッドから見上げてた。
その目が何を考えてるかなんて、このときのわたしには少しも分からなかった。
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Tatsumi(プロフ) - 初めまして！ただいま、初恋一目惚れして、きなこさんの作品を読ませていただいています。こんなにしっくりくる玲於くんは初めてで、主人公ちゃんのキャラも好きで、今やきなこさんの作品や人間性に惚れ込んでいます。沢山の素敵な作品をありがとうございます！ (2020年3月27日 10時) (
レス) id: ec055f32e6 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - きなこさんのお話全部読んでます！！パスワードかかってるやつ昔読んだのですがまた読みたいので良ければパスワード教えて欲しいです！ (2019年10月6日 12時) (レス) id: 5014defe8e (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか(プロフ) - まってました！きなこさん！おかえりなさい！！！楽しみにしてます！ (2019年10月2日 7時) (レス) id: b214cb1e69 (このIDを非表示/違反報告)
ChuRa(プロフ) - ハイスピード大歓迎です！きなこさんの書かれる佐野玲於くんが大好きです。更新楽しみにお待ちしております。 (2019年9月26日 12時) (レス) id: 6da9a38d0b (このIDを非表示/違反報告)
ゆりこ - 待ちきれないので毎日更新してください！！！！ (2019年9月26日 1時) (レス) id: cb039e5484 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きなこ
| 作成日時：2019年9月13日 21時
