また明日 ページ29
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「モモコイ、何巻までいきました?」
「えっと、次13巻かな。」
「あ、結構いきましたね!笑」
「うん。仕事帰りに一巻ずつ買ってたから。」
このまえ浅井さんが教えてくれた。
こっちの棚
上から二段目
桃色の恋の13巻を手に取る。
「…もうレジ行かれますか?」
「え?」
「…あ!あの、これ、この漫画もめっちゃおすすめです!」
「これですか?」
「はい!あ、俺姉がいるんですけど、だから家に少女漫画たくさんあって。」
「あ、それで詳しいんですね。」
「そうっす。」
そのあと、これもオススメ!って
浅井さん、楽しそうにたくさん教えてくれた。
レジ行かなくて大丈夫なの?って途中聞いたけど
今Aさん以外お客さんいないからって。
だからちょっとだけ、立ち話した。
一人暮らししてるの?とか
Aさんなんでマスクしてるんですか、とか
ほんと、なんでもないこと
のんびり時間が過ぎてるのが、すごく好きだった。
初めて会ったときも思ったし
この前も思った。
浅井さんのまだ大人になってない雰囲気にすごく落ち着いて、なんだか安心する。
なんだか懐かしい。
「あ、」
「…お店閉まる?」
「あと10分です。」
暫くそうして話していたら、蛍の光が流れ始めた。
話し過ぎちゃったって笑ったら
浅井さんも優しく笑って
じゃあそろそろ、なんて レジに向かう。
「お釣りです。」
「ありがとう。」
「あの、Aさん。」
「はい。」
「…明日も待ってていいですか。」
そんな言葉に、財布を仕舞う手が止まった。
…どうしよう
明日は玲於くんが来るって言ってた。
だけど、ちょっとくらいならいい?
…だってどうせ、漫画買いたいし…
「…明日も来ようかな。」
「マジっすか!やった、待ってます!」
「あ、あの、でも明日は、あんまり長居できないかもしれなくて、」
「全然いいっす、来てくれるだけで。」
そんなこと言われて、思わず黙り込んでしまった。
やばい今すぐ帰らなきゃって
なんでか思って
「…じゃあ、えっと…ありがとうございました。」
「はい、また明日。」
「……また明日…」
逃げるようにお店を出て、焦って、玲於くんに電話をかけた。
今すぐ声を聞きたかったのに、呼び出し音は鳴り止まない。
「…仕事中か…」
諦めて下ろした携帯。
今日、1時まで収録って言ってたじゃん。玲於くんが仕事してるときに、何やってんだ、わたしは。
頭が痛い。
吉川くんのときと同じことになりそうな気がして
少し怖かった。
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Tatsumi(プロフ) - 初めまして!ただいま、初恋一目惚れして、きなこさんの作品を読ませていただいています。こんなにしっくりくる玲於くんは初めてで、主人公ちゃんのキャラも好きで、今やきなこさんの作品や人間性に惚れ込んでいます。沢山の素敵な作品をありがとうございます! (2020年3月27日 10時) (レス) id: ec055f32e6 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - きなこさんのお話全部読んでます!!パスワードかかってるやつ昔読んだのですがまた読みたいので良ければパスワード教えて欲しいです! (2019年10月6日 12時) (レス) id: 5014defe8e (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか(プロフ) - まってました!きなこさん!おかえりなさい!!!楽しみにしてます! (2019年10月2日 7時) (レス) id: b214cb1e69 (このIDを非表示/違反報告)
ChuRa(プロフ) - ハイスピード大歓迎です!きなこさんの書かれる佐野玲於くんが大好きです。更新楽しみにお待ちしております。 (2019年9月26日 12時) (レス) id: 6da9a38d0b (このIDを非表示/違反報告)
ゆりこ - 待ちきれないので毎日更新してください!!!! (2019年9月26日 1時) (レス) id: cb039e5484 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きなこ | 作成日時:2019年9月13日 21時