ユアマイドール【佐野玲於】

気に食わない ページ46

玲於side






玲於「…Aは？」






撮影を終えて戻った楽屋

中には、姉さんとチカちゃんしかいなかった。





美幸「Aちゃん、帰ったよ。」


玲於「は？帰ったの？あいつ。」


チカ「用事があるとか言ってたけど。」


玲於「…用事って…」






…嫌でも思い出す


撮影に行く前の、あいつの顔




無理して笑うなって何回も言ったのに

唯一それだけは、俺の言うこと聞いてくれない。





…言わなきゃよかったかな

チカちゃんが好きだなんて。




何が正解か分かんないし、答えなんて誰にも聞けないし


でも、あいつを傷つけたことは分かるから。





メン「玲於は？」


玲於「…え？」





メンディーさんの声に顔を上げる。


やべ、ぼーっとしてた。






チカ「今からみんなでご飯でもどうかなって。」


玲於「…あー、うん。行く。」


涼太「よしじゃあ準備して早く行こう！」


裕太「いつもの店？」


涼太「うん。」






楽しそうなチカちゃんの横顔



…なんだろ、このモヤモヤした感情は。






Aのこと傷つけたの、気にしてる？

それとも、今からチカちゃんとメシだから緊張してる？




…わかんねえ。









着替えを終えてみんなで楽屋を出た、その廊下



先頭を歩くのは

Aよりも大人っぽい雰囲気のチカちゃん



…綺麗と可愛いって どこで分かれてんだろ。


Aのことはどうしても可愛いとしか思えないし




いや、べつにあいつのことを可愛いって言ってんじゃなくて


だから…その…





玲於「ああもう！」


亜嵐「いった！なになに！笑」





前を歩いてた亜嵐くんに八つ当たりパンチを食らわす。





亜嵐「Aちゃんいないからつまんないんでしょ？笑」


玲於「…違うし。」


亜嵐「そ？…用事ってなんだろ、俺が呼んだら来るかな。…ラインしてみよ。」


玲於「ちょ、」





そう言いながら
ポケットから携帯を取り出す亜嵐くん。



ラインって…待って待って。





玲於「なんで亜嵐くんがすんの、ラインなら俺が…」


亜嵐「なんでよ。笑 こう見えても俺ら結構仲良いからね？笑」





そんな言葉と一緒に見せられたのは

Aと亜嵐くんのツーショット


今流行りのアプリで加工された、ふたりの笑顔







…なんか分かんないけど


気に食わない。




ああもう、なんだこれ。



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