ユアマイドール【佐野玲於】

珍しい ページ48

Aside





次の日の仕事




おじいちゃんに愚痴ったおかげで軽くなった心と

いつもよりも上手に巻けた前髪のおかげで


思ってたより笑顔で楽屋に入ることができた。




…まあ、わたしが一番乗りなんだけど。





みんな昨日何時まで飲んでたんだろ。


夜中まで飲んだ翌日って、なんとなくみんなお化粧ノリ悪いから嫌だな。


むくんでるもん。







美幸「おはよー。」


A「あ、おはようございます。」






メイクセットの準備をしてたら、あくびしてる美幸さんが入ってきた。


…眠そう。





A「もう、昨日何時まで飲んでたんですか？目開いてないですよ。」


美幸「ひっどいな〜、飲んだのは健全に1時くらいまでだよ？」


A「…健全…？」





わたし、小さい頃から過保護すぎる両親に育てられてきたせいで

日付けが変わる前には家に着いとかないと、なんかソワソワするもん。


1時に解散は、わたしの中では大冒険。





美幸「それがさ、昨日ちょっと色々あって…」


A「え？」


美幸「…喧嘩したの、涼太とチカちゃん。」





低い声でそう言った美幸さん

…あの2人が、喧嘩？





A「…なんで…」


美幸「それがね、」





美幸さんがそう口を開いた時

ドアが開いて





涼太「…おはようございます。」





…うわあ、当の本人





A「お、おはよう…」


美幸「ネタじゃなくて、結構本気の喧嘩だから…気にしてあげてね。」





耳元でそう言われる。

…本気の喧嘩って、どんなだろう。



喋らないのかな

昨日チカさんは、どうやって、どこに帰ったんだろう。




…玲於くんの家なんて、行ってないよね？

酔った勢いで、なんてないよね？




心臓がドキドキしだす。

…やだ、もう。これ以上傷つきたくないよ。





そんなことを考えているうちに

続々とメンバーが入ってくる。



みんなどことなく涼太くんを気遣っている感じで

ほんとにネタじゃない方だ…なんて、よく分かんないまま理解した。







玲於「…はよっす。」






そんな中、一番最後に入ってきた玲於くん。


…余計なこと考えちゃダメ。

避けたら、話せなくなっちゃう。



それはダメだよね お仕事しづらくなるもん。






A「…玲於くん！おはよう。」


玲於「……おはよ。」







…あれ



素直におはよう返してくれるなんて

玲於くんにしては珍しいかも。




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