【PENTAGON】恋、イロイロ【短編集】

・ ページ19

ジノside






俺が手を握ると



Aは、その白くて小さな手で俺の手を握り返してくれた。









｢ジノはさ、私といて楽しい？｣






Aは、悲しそうな表情で微笑み


俺に問いかけた。









ジノ｢楽しいに決まってるでしょ

それに、幸せ。いまさら何言ってるの｣


｢あはは、そうだよね。ごめん。


私もジノといてすっごく幸せ｣







そうだよ、君はそうやって笑っていて。


君は笑顔がよく似合うから。









ジノ｢俺はずっとAのそばにいるよ。


なんてったって俺の愛する人だからね｣









ちょっと照れくさいけど、今の俺にできる精一杯の愛情表現。









｢ありがとう、私も愛してるよ。



もし私がいなくなっても、絶対幸せになってね｣









ジノ｢そんな悲しいこと言わないの、


いちばんつらいのはAなのに

俺、何もできなくてごめん。また一緒に、前みたいにいろんなところに行こう？

俺のこと連れ回してよ。｣









うんわかった、と微笑むA。




大好きで大好きでたまらない。今すぐぎゅっと抱きしめたいけど、そんなことしたら折れちゃいそうなくらい実は弱っているA。



痛みも苦しみも、分け合えたらいいのに。



今の俺にできることは、Aのそばにいることだけ。









ジノ｢Aには俺がついてるからね、

大丈夫。絶対元気になれるよ｣




そう言って俺はAの頭を撫でた。









Aといれる時間はとても幸せで



悩みも不安も、全部忘れられる。









・









だから、＿＿＿









だからこそ、近づいているタイムリミットに


俺は気づいていなかった。

食べたい【ホンソク】→←白い病室の中【ジノ】

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す