人命救助? ページ6
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【視点→A】 5月12日 16:00
授業全てを聞き流して、もう放課後。
私の聞き流しも板についてきた。
……え?それはヤバいって?
大丈夫!
人生、勉強が全てじゃない!大切なのは、上手に生きてゆく為の賢さなのさ!
あ、そうそう用事を済ませないと。
用事って言っても、図書室の本返しに行くだけだけど。
今日返さないと図書担当の先生から呼び出しされるのだよ〜っと。
「なのだよなのだよ〜」と歌いながら、私が図書室へ向かう途中で、男子生徒が廊下の隅で蹲っていた。
声、かけたほうがいいかな?って考える私は保健委員の鑑なのだよ〜
とりあえず、近くに寄ってみると、男子生徒は苦しそうな表情をしていた。
「大丈夫?」
「あぁ…大丈夫だ」
明らかに大丈夫そうではない。
ま、ここは私の第2の家である保健室へ行くことを、彼にオススメしよう。
「保健室がオススメですよ?30分以内にお電話いただければ、3,980円ですよ?」
と、通販番組のノリでボケたが、男子生徒には通じず、「……部活を休むわけにはいかないんだ」と言われてしまった。
部活、大切にしてるんだ……
私は帰宅部だから、なんかそういうのいいなぁ。
「そっか……!もし何かあったら、直ぐに保健室に行ってね。30分以内なら」
「3,980円……。心遣いありがとう」
男子生徒は優しく微笑む。
体調悪そうなのに私のボケに付き合ってくれて……優しすぎるのだよ!
じゃ、私は図書室に行こう。
そうして、私は図書室へと歩みを進めた――
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……なんて、酷い事できる訳ないっしょ!
踵を返して男子生徒に近づき、彼の眼の前に立つ。
「私の肩に捕まって。保健室に行きましょ?」
「……でも、部活に行かないと」
「健康管理も出来てこそ、一流です。私も、体調の悪い日はしっかり休むようにしています!」
体調の悪い日はいつもより早く家に帰る。
ま、一流の帰宅部だからね!
全国大会常連だからね!?
男子生徒は私の言葉を聞き、儚く笑うと、肩に腕を預けてくれた。
ってアッツ!熱いよ熱い!この熱で部活行こうだなんてスゲーわ!respectするわ!
心の中でギャーギャー騒いでいるのを悟られないように、私は男子生徒と共に保健室へ向かった。
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作者名:早咲サクラ | 作成日時:2014年5月16日 17時