鋭くて鈍い人だから ページ26
Aside
『ただいま』
「帰ってくんの遅すぎだろ。どこまで走ってた」
『千葉…辺りかな』
「おかえりなさい。スープ飲みます？」
『ありがとうイヌピーくん。頂くね』
そう言うと、イヌピーくんは奥の部屋へと走って行ってしまった。龍宮寺は、私のバイクを戻しに裏車庫の方へと向かっていく途中だった。私は近くのソファに座り、先程の灰谷兄弟との会話を思い出していた。
・
「とりあえず、お前、三途には気をつけろよ」
『三途くん？何で？』
「アイツは、
「あと薬中だしな」
『…』
「一人の女に溺れて、弱み見せる
『…ありがとう。頭の片隅に入れておくよ』
・
その後、コンビニ事件の事を二人に聞こうとしたが、何故か聞けなかった。何となく、聞いてはいけない気がした。三途くんが、仮に私のことを恨んでいたとして、この前会った時にあえて殺さなかったとしたら？あの時、本当に三途くんが私を試していたら？もしあの時、本当は私を殺そうとしてたら？けど、思っていた返答が返ってこなくて、薬か何かの影響で気持ちがハイになっていたら？私の代わりあの大学生が殺されたの？………違う。私が殺した？私があの時死ななかったから、未来あるあの子が死んでしまったの？
そんなことを思い悩んでいると、イヌピーくんが温かいスープを持って来てくれた。私はそれを受け取り、口に流し込む。イヌピーくんは「口、火傷しないでくださいね」と言ってくれたが、今の私にはこのくらいの温かさが丁度良かった。
「…Aさん、大丈夫ですか」
『え？』
「何か、とても辛そうな顔してますよ。具合悪いですか？」
『…優しいね、イヌピーくんは。でも大丈夫。久しぶりに走りすぎてちょっと酔っちゃったのかな』
片手を頭の後ろで擦りながらヘラヘラ笑って、何とか誤魔化す。イヌピーくんは意外な所で鋭いけど、それと同時に鈍い人でもある。きっとこのまま流せるだろう。そして案の定、イヌピーくんはその後何かを追求することは無かった。すると、裏車庫から私のバイクを置きに行った龍宮寺が戻ってきて、私の名を呼ぶ。
「A」
『何？龍宮寺』
「お前、少しは俺らを頼れよ」
『…』
私は、その返事が出来なかった。
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エリザベス女王 - う､､､目から滝が､､､！武道のタイムリープで幸せになってるといいですねぇ､､､✨三途君の恋が､､､あの裏には恋心があったなんて､､､⁈伏線回収上手すぎです‼︎素敵な小説ありがとうございました！ (2022年7月29日 19時) (
レス) @page47 id: c75fcc9307 (このIDを非表示/違反報告)
ひめ☆そら(プロフ) - ち ゆ。さん» ちゆたん…！！こちらこそ読んでくれてありがとう( ᵒ̴̶̷̥́ ⌑ ᵒ̴̶̷̣̥̀ ) (2021年10月30日 16時) (レス) id: f06e616829 (このIDを非表示/違反報告)
ち ゆ。(プロフ) - 最初から最後まで感情が揺さぶられて毎度ページを開く度にドキドキしまくった…(><)ラストの方ほんとにしんどくて心臓きゅってなった(；；)辛いけど綺麗な終わり方しててとても感動しました！素敵な作品をありがとう！ (2021年10月30日 12時) (レス) id: 7bb8e59749 (このIDを非表示/違反報告)
ひめ☆そら(プロフ) - ゴリラの末裔さん» お返事遅くなってしまい申し訳ございませんっ！勿体ないお言葉…！！ありがとうございます！！！ (2021年10月13日 23時) (レス) id: f06e616829 (このIDを非表示/違反報告)
ゴリラの末裔 - 神はここにいた、、、、、 (2021年10月10日 23時) (レス) @page47 id: 566df7a38f (このIDを非表示/違反報告)
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