【佐野万次郎】呪いのような口付けを

私を試す理由 ページ13

Aside







きっと、三途くんは私を試してる。私が佐野の事を探しているのかどうかを。そして、この誘惑に乗ったら今度こそ殺されるだろう。確信は無いが、どことなくそんな雰囲気を醸し出している。







「どうした？会いたくねぇの？」

『…佐野は、そんなの望まないでしょ』

「さぁね。俺の勝手な“思いやり”だから」







やっぱり、これは三途くんが勝手に行動してるんだ。佐野の命令でも無いし一切無関係。けど、それじゃあ何でこんな試すようなことを？私が邪魔？もう佐野とは一切関わってないのに？

またもや色んな思考が私の中に巡る。







「どうする？五月雨A」

『…遠慮しとく』







私は三途くんの誘いを断り、駆け足で自分のマンションへと戻った。正直後ろを向いた瞬間に殺されるのではないかと思ってヒヤヒヤしていたため、マンションに着いた頃には心臓はバクバクで、冷や汗ばかりかいていた。







「…邪魔だなぁ。“アイツ”と同じだぜ、五月雨A」







・







ニャー、とミーちゃんの声でハッと我を取り戻す。ミーちゃんは心配してくれているかのように、私の足にスリスリと体を撫でていた。それがとても愛らしくて、ついつい癒されてしまう。







『ごめんね、お腹空いたよね』

「ミャー」







私は急いでコンビニで買ったキャットフードの缶詰を開ける。ミーちゃんは相当お腹が空いていたみたいで、あっという間に平らげてしまった。現時点での時刻は午前四時。私は軽くシャワーを浴びてから、再び眠りについた。次に目を覚ましたのは夕方だった。そこからスーパーへ買い物に行ったりしたが、結局私の休日はほぼ睡眠で終わったのだった。

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