ハンバーグが食べたいの ページ36
Aside
それからというもの、お母さんと少し距離が出来たように感じた。否、私が一方的にお母さんを避けてしまっていた。このままじゃダメだって分かってるのに。
・
『じゃあ、二人ともお母さんが違うの?』
「そう。けどエマは俺の妹な」
「外人みてぇな名前だな」
『今すぐ謝れ』
いつも通りの稽古の日。しかし、今日は特別な日だった。万次郎に妹ができた。名前はエマ。お人形さんみたいでとても可愛い女の子だった。でも、確かに少し外国人みたいな名前だとは思った。
すると、万次郎と圭介は急に外国人の名前であだ名を付け始めた。
「じゃあ俺、エドワードの“エド”」
「俺、マイケルの“マイキー”」
『え、え、じゃあ私フランシスコの“フラン”!』
それから万次郎と圭介は二人で盛り上がっていたが、エマはどこか悲しそうな顔をして俯いていた。その目には、次第に涙が浮かぶ。私は静かに背中を摩った。
「本当は、分かってたんだ。ママの気持ち。ママはウチのこと嫌いだから。だから捨てたって、分かってるんだ」
『…』
「でも、用事終わったら迎えに来るって、言ったんだっ…」
その時、私はお母さんの事を思い出した。エマは、お母さんに会いたくても会えない。それに比べて私は、毎日お母さんに会える。けど、ずっと避けてしまっている。この時、私は初めて自分が愚かな事をしている事に気づいた。お母さんの大切さに気づいた。
『万次郎、私今日家でご飯食べる』
「いいの?一人だぜ」
『いいの。私、お母さんの料理が食べたいの』
・
『ただいまっ!!!!』
「…A?今日も万次郎くんの所で食べてくるじゃなかったの?」
『そうなんだけどね!私ね、私っ、お母さんのハンバーグが食べたいの!』
稽古が終わった後、私は急いで家に帰った。靴を脱いでお母さんの寝ている部屋まで走って、抱きついた。お母さんはとても不思議そうにしていたが、ギュッと抱き返してくれた。
「今からだとちょっと遅くなっちゃうけど、作ってあげるね」
『うん!お母さん大好き!』
「…ありがとう」
お母さんはゆっくりと布団から出て、キッチンへと向かった。これでもう大丈夫。私はそう思い込んでいた。
けど、もうこの時には既にお母さんの心はボロボロだったことに私は気づけなかった。
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ひめ☆そら(プロフ) - かかさん» そう言って頂き光栄です!ありがとうございます! (2021年7月9日 13時) (レス) id: f06e616829 (このIDを非表示/違反報告)
かか - 更新楽しみです!無理せず頑張ってください! (2021年7月9日 6時) (レス) id: b7e78c6068 (このIDを非表示/違反報告)
ひめ☆そら(プロフ) - 雪見大福さん» ありがとうございます!!無理せず頑張りたいと思います! (2021年6月6日 13時) (レス) id: f06e616829 (このIDを非表示/違反報告)
雪見大福(プロフ) - これからも無理せず頑張ってください (2021年6月6日 11時) (レス) id: 4031fb98ab (このIDを非表示/違反報告)
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