第5章 Halloween Party Night ページ16
貴方side
「2階のテラスに行くで」と坂田さんに告げられたので付いていくと、煌びやかな飾り付けの施されている長テーブルに豪華な料理が置かれていた。
広いテラスは赤白い月の明かりに照らされていて、館内と同じぐらいに明るかった。
たが、テラスの周りは木々が沢山生い茂っており、真っ暗暗闇に包まれていた。
東京の街中を歩いてここに辿り着いたはずなのに、この場所はそれを感じさせなかった。
「こい、ボサっとしてないでこっち来い」
うらたと呼ばれる奴にそう言われたが、命令される覚えも無いし、聞きたくもないので無視をして月を眺める。
「A、うらたんの言い方悪くてごめんなぁ。来てもらってええですか?」
「………分かりました」
センラさんにそう言われると私が傲慢な気がして、反論しようとしたが黙ってそれぞれが席に着いている長テーブルの前へと向かう。
苦手意識のある2人は隣同士に座っており、その逆の2人はそれに向かい合うようにして座っていた。
そして、それを除いて空席がひとつ。
いかにも偉そうな人物が座るような椅子を見て誰がやって来るのか怖くなった。
もしかしたら、魔界の魔王とかそう言われる存在かもしれない。
「さっさと座れよ」
私が怖がっている椅子を「そこに決まってるだろ」と言わんばかりの目でうらたが指さす。
まさか私が座るとは思っていなかった豪華な椅子に疑問を抱きながらも静かに座る。
坂田さんの魔法によって作って貰った白いシルクのマーメイドドレスが、大きな椅子の赤いクッションによく映える。
「お前らグラス持てよー」
「うらたん酒飲めへんやん」
「これ酒じゃねぇもん」
偉そうな態度取っておきながら酒が飲めないと言う意外な弱点に吹き出しそうになったが、ここで吹き出すとぶっ飛ばされ兼ねないので黙って下を向いて置くことにする。
4人がワイングラスをそれぞれ片手に持って掲げたので私も持ったほうがいいと思い、持ち上げる。
「今宵の運を祝して、乾杯」
チリンと軽くガラス同士がぶつかる音が鈴の音のように重なり合った。
うらたと呼ばれる化け物が酒ではないよく分からない飲み物を喉に通すと、目の前の豪華な食事をナイフで切りながら私に話かけてきた。
「お前の親のこと、色々と調べた」
彼から思いもよらぬ発言に驚いて身が竦んでしまう。
私の親の事なんてロクでもない事しかないだろうに調べた所で同情を買うだけか、気持ち悪いと罵られるかだ。
彼らのような化け物に同情なんて心、到底あると思えないので罵られるだけだろう、と溜め息を零したのであった。
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ぴの(プロフ) - いやぁーー!!好きですぅぅぅ(泣)正体不明、天才歌い手シリーズの方も、いつも楽しく読ませていただいています!最新、無理しなくていいですが、密かに待ってます!! (2019年7月14日 15時) (レス) id: c64bb1fc21 (このIDを非表示/違反報告)
トーストぱん(プロフ) - とにかく最高すぎて好きです!!!!! (2019年3月8日 3時) (レス) id: 2929f04cfc (このIDを非表示/違反報告)
トーストぱん(プロフ) - うらたさんとセンラさんがかっこよすぎて過呼吸になりかけましたごちそうさまです!!!フワリと大きな袖で包まれるって…!!!!ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙もう呼吸止まった瞬間でしたよええ!!!最高すぎて評価10押したのに既に投票していますって出るんですよ!!!?! (2019年3月8日 3時) (レス) id: 2929f04cfc (このIDを非表示/違反報告)
トーストぱん(プロフ) - 口にする辺りあh((( 流石だなってなったし志麻さん何気に夢主ちゃんのこと、あの、怖がるだろ的なこと言っててア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ってなったしいやもうほんと好きすぎて好きすぎてヤバいです(語彙力低下)続き楽しみにしてますごちそうさまです (2019年1月25日 4時) (レス) id: 2929f04cfc (このIDを非表示/違反報告)
トーストぱん(プロフ) - ア゙ア゙ア゙好きですさかたんが走り回って夢主ちゃん探しに行ってそれ止めようとセンラさん追いかけてその後志麻さん怒ってうらたさんが思ったことハッキリ言う構図が…もう…あの、机に手をめっちゃバンバンするくらい悶えましたごちそうさまですそんでさかたん禁句を (2019年1月25日 4時) (レス) id: 2929f04cfc (このIDを非表示/違反報告)
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