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「お前、ほんっといい声出すよなァ。さかた、鎖解いてやろうぜ」
「マジで!?俺もコレと話したかったわ〜!」
パチンと指を鳴らせばカチャリと音を立てて鎖が人間の手首と足首から取れる。
「最後に、友達に会せて」
「それはできない」
「何でよ!」
キャンキャンと吠える馬鹿犬の様な姿に再び蹴りを入れたくなるが、それは何とか仕舞い込む。
ここに来ている奴の死体を元に戻すのは簡単で、ここに来た事を記憶から抹消する事だって意図も簡単にできる。
だが、会わせてしまっては消した筈の記憶が戻って人間に存在がバレてしまうかもしれない。ここの場所自体は見つからないのだが、人間に他言されれば、上層部からの処罰が待っている。
「お前も危険に晒すことになる。うらさんはお前の事思って言っとるんや」
「はぁ?私は友達に会いたいの!…折角唯一の友達で私の事分かってくれてたのに…何でよ…一回ぐらい会わせてよ…」
「お前が会ったとしても、その後にここに来た記憶も消すんやで?それに、もしもお前に会って後々記憶が戻ったとしたらここの存在を吐かれる。殆どが何馬鹿なことって言うかもしれんけど、お前の友達?って言うんか?ソイツが言った瞬間にソイツは死んで、お前も俺らと一緒に処罰受けなアカンのや」
「処罰って…?」
「禁固刑やな。500年くらいか?」
聞いた事の無いような年月だったのだろう。人間は目を丸くして目を伏せた。
これから過ごす事を考えれば、会わせてやるなんて何ともないが、生憎、上層部の勝手な掟のせいでそうはいかない。
「分かったら黙って着いて来い。案内しとく」
「…分かった」
「あ、俺が案内しとくからええで」
センラの言葉に甘える事としようとすると、さかたが大した事でもないのに大声をあげる。
「俺も!俺も案内する!」
「いやそんな大声出さんくても別にええねんけど…」
「やったぁー!」
「はぁ…まーしぃ、俺らは出てようぜ」
おう、とまーしぃが短く頷き部屋の外へ出る。部屋の外はハロウィン前ということもあって、いつもは蜘蛛の巣などが張ってある舘も、魔力を使ってゴウストを呼んで掃除をさせた。
「つかさ、まーしぃ。アイツの血はマジでヤバい」
「せやな。ハロウィン延長となるんちゃう?」
「かもな」
ハロウィン延長、とは当たりが出たその日から一日だけハロウィンを延長して宴を開く。
それが今回は俺たちの番だ。
指をパチンと鳴らして、ゴウストを喚び出す。
「さぁ、錨を下ろせ!」
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ぴの(プロフ) - いやぁーー!!好きですぅぅぅ(泣)正体不明、天才歌い手シリーズの方も、いつも楽しく読ませていただいています!最新、無理しなくていいですが、密かに待ってます!! (2019年7月14日 15時) (レス) id: c64bb1fc21 (このIDを非表示/違反報告)
トーストぱん(プロフ) - とにかく最高すぎて好きです!!!!! (2019年3月8日 3時) (レス) id: 2929f04cfc (このIDを非表示/違反報告)
トーストぱん(プロフ) - うらたさんとセンラさんがかっこよすぎて過呼吸になりかけましたごちそうさまです!!!フワリと大きな袖で包まれるって…!!!!ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙もう呼吸止まった瞬間でしたよええ!!!最高すぎて評価10押したのに既に投票していますって出るんですよ!!!?! (2019年3月8日 3時) (レス) id: 2929f04cfc (このIDを非表示/違反報告)
トーストぱん(プロフ) - 口にする辺りあh((( 流石だなってなったし志麻さん何気に夢主ちゃんのこと、あの、怖がるだろ的なこと言っててア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ってなったしいやもうほんと好きすぎて好きすぎてヤバいです(語彙力低下)続き楽しみにしてますごちそうさまです (2019年1月25日 4時) (レス) id: 2929f04cfc (このIDを非表示/違反報告)
トーストぱん(プロフ) - ア゙ア゙ア゙好きですさかたんが走り回って夢主ちゃん探しに行ってそれ止めようとセンラさん追いかけてその後志麻さん怒ってうらたさんが思ったことハッキリ言う構図が…もう…あの、机に手をめっちゃバンバンするくらい悶えましたごちそうさまですそんでさかたん禁句を (2019年1月25日 4時) (レス) id: 2929f04cfc (このIDを非表示/違反報告)
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