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芥川「何の心算だ、黒衣の男」


芥川はふらつきながらも、戦闘の体制を取った


芥川「貴様は今日僕をこの地へと誘導したな?手紙を使い、銀を餌にして……。奈穂が今日連れていかれたのも、計算していただろう。だが僕を殺したいだけなら、より安易な道があった筈だ。何が狙いだ?今日この先の戦いの先に、貴様の目は何を見ている?」


太宰「今日の戦い?違うよ、芥川君」

太宰は歩き続けながら言った


太宰「今日じゃあない。四年半前からずっと(・・・・・・・・・)だ。君から妹を引き離したあの日から、すべての要素は今日この状況のために設計されていた。敦君の鍛錬も、マフィアの勢力拡大も、全部」


芥川「何だ、と………?」


驚愕したような声で芥川が云った


太宰「"本"を知っているかい?一般的な書籍の呼称じゃあない。世界で唯一無理の"本"。書いた内容が現実になるとされる白紙の文学書だ」


芥川「書いたことが……現実に?」


太宰の声色は一切変わらず、唄うように話を続けていく


太宰「ああ。だが書いたことが現実になる、と云っても、厳密な意味では違う。"本"はこの世の根源に近い存在。その中には、無数のありうる可能性世界、あらやる条件変化によって無限分岐した世界の全てが、折り畳まれて内在しているんだ。そして本の頁に何かが書き込まれた俊寛、その内容に応じた世界が"呼び出される"本の中の可能性世界と現実世界が入れ替わるんだ」


話の規模が多すぎて、敦と芥川は絶句するしか無かった!二人に分かるのは一つだけ


この状況で、太宰は嘘や冗談を云うはずは無い


太宰「この世界は、可能世界。つまり本の中に無限にある世界の1個に過ぎない」


二人ともわかる、理屈ではなく頭の深い部分で私たちは理解してた


太宰「とは云え、現実は現実。この世界も本と同じだけの強度を持っている。その証拠に、この世界にも世界の根源近縁体である本は存在する。もっとも、のこちらの世界の本は謂わば排水溝だ。外の世界の呼び出し命令に応じ、灰滅させたりする。そしてそこからまもなく、強大ないくつかの海外組織が、本を狙ってこの横浜に侵攻をはじめる」






どうして太宰はそんなことを知っているのだろうか


芥川は本能的に尋ねた

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作者名:るーりん | 作成日時:2022年12月29日 0時

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