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A視点
「!…それは本当かい?」
『…?』
昨日悪魔討伐が終わり、与えられてた任務を全て完了し本部へと定期連絡を入れる師匠をソファに座りジュースを啜りながら観察。
人間観察、音の聞こえない僕にとっては1番の情報収集源である表情や口の動きを見るのがついつい癖になっちゃって止められない。
でも今日は見ていて良かった。
何時もは淡々と報告をした後に次の任務を授かり終わりなのだが、今日の師匠はその後にもう1回電話をかけた。
受話器を耳にした師匠の顔色が明らかに曇ったから、きっと何か良くない事を知らされたんだろうけど、一体誰と電話しているのか…。
「そうか…リナリーにマリアンの弟子が……」
「それで、2人は無事なのかい?」
「…そうか、それは少し心配だけど…ブックマンも君も居るなら安心だ」
「分かってる、私達は大丈夫だから心配はいらないよ。Aも毎日成長しているから安心しなさい」
『……?』
僕の視線に気付いたのか師匠が口元を隠しながら話すもんだから、何を話しているのかは分からなくなったけど師匠がそっと僕の頭を撫でて、しかも普段より更に柔らかい瞳を向けてくるからきっと今は僕の事を話しているに違いない。
まぁ、普段なら口元隠すなんてしない師匠だからきっと何が悪い知らせでもあったんだろうな。
「終わったよ。そのジュース美味しいかい?」
受話器を置きソファに座る僕の前にしゃがみ目線を合わせた師匠に口元隠されたお返しに思い切り顔をそむけてみればあからさまにショックを受けた顔をする。
「ごめんよ、内緒にするつもりはないから許してくれないかい?」
僕の顔を覗き込んだ師匠の眉が余りにも下がっているから仕方なーく許してあげることにした。
……まあ、最初から怒ってないんだけど、面白いからこのままで行こ。
[室長 何 言ってた]
「それは…って」
[隠し事 ダメ これ 約束]
紙に書いてもいいんだけど、少しでも早く内容が知りたいから不慣れな手話で問い掛けるけど、何て言おうか迷った様に口を噤む師匠に軽く頭突きしてから小首を傾げれば、意を決したように口を開いてくれる。
「まぁ。Aには直にバレてしまうだろうから隠しても無駄だね。いいかい?心して聞くんだよ?」
『…』
軽く僕の頭を撫でながら真剣な眼差しで話す師匠につられ、僕も思わず身構える。
「ノア……Aの言ってた通りノアの一族が現れたらしい。それも、リナリーやマリアンの弟子の前にね」
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作者名:雲幻 | 作成日時:2018年9月18日 3時