(6):躊躇いは不要 ページ6
その日、俺は結局放課後になるまで誰とも顔を合わせなかった。
部活も妙にやる気が起きず、部活終了時間ギリギリに顔を出した。
着替えても間に合いそうに無かったので、制服のまま、片付けに参加した。
帰り、門を1人で出ると、及川が後ろから俺を呼び止めた。
「おい!!!」
「…なに」
チラリ、と横目で及川の姿を捉えると、俺は顔を元に戻す。
それから及川は言葉を発しなかった。俺も、口を開かず、黙っていた。
長い沈黙が訪れた。その沈黙が、何分、何時間……とても長く感じた。
「用、無いなら帰るけど」
早く家に帰らなければ、Aさんの飯の時間が遅くなる。
沈黙を破り、及川に言葉を返すが、及川は何も言わなかった。
もう一度、横目で及川を確認したが、本人は下を向いていて、何も話しそうになかったので、足を1歩踏み出した。
「待って!!!!」
俺の目の前で止まった及川に、俺は反射的に立ち止まった。
正直、走ってまで目の前に立たれるとは思っていなかったので、とても驚いた。
及川は、気まずそうに目をそらすと、モゴモゴと口を動かした。
「その……えっと…」
「なに?俺、飯の用意しなきゃいけないんだけど」
今日、された様に冷たくあしらうと、及川は俺の目をじっ、と見据え、バッ、と頭を下げて叫んだ。
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shinobo(プロフ) - なんて私得なんでしょうか (2019年7月23日 21時) (レス) id: b607d0f086 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サラン | 作者ホームページ:http://uranai.
作成日時:2017年3月23日 22時