ねぇ、ダーリン！【りぶ】 (ページ8)

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番外編　えいぷりるふぅる　２（続き）ページ8

「そっか、よかった」

安堵した顔。

「俺、さ。Aに渡したいものがある」

少し腕の力を緩め、Aと向き合う。

「何？」

「目を瞑って。手、出して」

不思議そうにしながらも、言った通りにしてくれる。

その手に、渡したいものを置き、握らせる。

「冷たっ・・・！」

歩いてここまで来たからだろう、すごく冷たくなっていた。

「よし、見ていいよ」

ゆっくりと目を開け、手のひらも開けるA。

「これ・・・鍵？」

「そう、鍵。

　・・・俺の住んでる家の」

そう言うと、俺の顔を驚いた顔で見てくる。

「りぶくん、エイプリルフールだから？」

「違う、本物」

「・・・りぶくん、エイプリルフールは、嘘をつく日だよ？驚かせる日じゃ、ない、よ・・・？」

ポロポロと、涙をこぼすA。

「知ってる。俺なりの、エイプリルフールサプライズ」

ニッと笑って見せてから、真面目な顔をする。

「・・・A、俺はこんなに離れているのが、辛い。傍に居て欲しい。

　俺と一緒に・・・東京に来て」

そう言うと、また泣き出して。

でも、笑顔を見せてくれる。

「行くっ！今すぐにでも・・・！私も、一緒に居たい」

彼女が、そう言い切る前ぐらいに抱き寄せる。

「・・・今から、嘘って言っても、着いてくからね」

「そっちこそ。今から、着いて行くのは嘘って言っても、連れてくから」

そうなると、誘拐でしょ。と笑うAに、

「それくらい、本気って事」

と言う。

「嬉しい。大好きだよ、りぶくん」

「おう、俺も」

＊

「・・・くん、りぶくん！」

「ん？何？」

「何じゃないよっ！返事ないから、ビックリした」

ごめん、と謝ると、ふぅと息をつくA。

「あ、そういえば今日、私がこっちに来るって決まった日だね」

カレンダーを見て、そう言った。

「確かに」

「ふふっ」

急に笑った彼女を不思議に思いながら、見つめる。

「・・・嬉しかったな。あの時」

目を細めて笑うA。

「あの日があるから、今一緒に居れるんだね」

「そうだな。・・・勇気出してよかった」

「ふふっ。そうだね」

「・・・一緒に来てくれてありがとう」

「！どーいたしまして」

いつまでも、二人で居たい。

ずっと、こうして笑い合っていたい。

「好きだよ」

「？なんか言った？」

「いや、別に」

嘘の日に溶かした、本音。

いつか、キミの耳までしっかり届ける。

そう心に誓った。