軽音部、ボーカル科 2 【まふまふ】

第51話 ページ8

朝、学校に来て下駄箱を開ける。

「は・・・？これ、何？」

開けて、ビックリ！クッキーがたくさん！

いや、大好物だから、嬉しいけどね。

「うーん。親衛隊の皆さんかな？」

あの人達、嫌な思い出があったからな・・・。96ちゃん関連で。でも、

「96ちゃん傷つけた人達は、メンバーから外されたんだっけ？」

親衛隊のリーダーの名前は・・・優香先輩だっけ？

「あ！」

私の出した、大きな声が廊下に響き渡った。

いつも、早く来てボイトレをしてから教室に行くことが、私の日課。

たまに遅刻するけど。

なので、今は誰も居ない。

「いや、親衛隊の皆さんは、気づいたら練習、見に来てるよね。」

じゃあ、私だけじゃないな。

「じゃなくて！」

大きな声を出し、頭をブンブンと横に振る。

もし、このまま何も情報がつかめなかったら・・・噂の事、探ってもらおうかな。

「いや、人を使うのはよくないよね。」

言ったら、すぐに探してくれる。必死になって。

でも、それは私の我が儘に付き合せてる。

「自分で、解決しなきゃ。」

「(人１)ちゃん。」

後ろから、きれいな声が聞こえた。

「はい？」

振り向くと、親衛隊の優香先輩だった。

「あ、おはようございます。」

「はい。おはよう。」

少し、嬉しそうに頬を染めた先輩。

「ああ、そうそう。話したい事があるの。」

「なんですか？」

「無理、しないでね。」

ビックリして目を見開く。

「抱え込んでる事があったら、誰かに頼らないとダメ。」

「！」

誰かに頼る・・・。

「あと、それは皆から。(人１)ちゃんへ。落ち込んでそうだから、大好物だったものをあげようってなったの。」

「そう、なんですね。」

私が、落ちているクッキーを見つめているとくすくすと先輩は笑う。

「そんなに多く食べれないでしょ。って言ってるのにね。皆が。愛されてるのよ、(人１)ちゃんは。」

私は、そっとしゃがみクッキーを拾いながら、嬉しく思った。

「もちろん、私も。(人１)ちゃんの事、愛してますからね。」

では。と言って去って行く、優香先輩の背中にありがとうございます！と叫ぶ。


「やっぱり、いい人達だよ。」

微笑んで、そう言う。




「でも、愛の告白を平然と言えるあたりは、変わってる・・・。」

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