軽音部、ボーカル科 2 【まふまふ】

第76話　　 ページ36

まふまふside

〜1年後頃〜

「(人１)先輩！」

「まふくん。・・・もう、卒業しちゃうんだね。私」

「そうですね・・・」

悲しそうに地面を見た、先輩。

今年の卒業式は、桜が満開だ。

「ぜんばいー！」

「96ちゃん・・・？声も顔もすごい事になってるよ？大丈夫？」

遠くから、96ちゃんが走ってくる。

抱き着いてきた、96ちゃんに先輩はそう言った。

「ぜんばい、いがないでぐだざ・・・ぐすっ」

「おい、96！勝手に、走んなよな！追いかけるの、大変、なんだよ・・・」

96ちゃんが来た方向から、コゲ君、天月君、店長さん、ろんさん、松下さんが来た。

「・・・先輩、ご卒業おめでとうございます」

天月君が、そう言う。

すると、コゲ君と９６ちゃんも続いて言った。

96ちゃんは、ほとんどなんて言ってるのか、分かんなかったけど・・・。

「96ちゃん、そんなに泣かないの」

「だっでー、ぜんばいっ」

「もうー、つられるじゃんかっ！うぅっ。96ちゃんー！」

二人で抱き合ってるのを皆であきれ顔で見る。

数分後。

落ち着いた、96ちゃんがまた後で！と言って、全員、去って行った。

「わわ。皆行っちゃたね」

ふわり、と先輩が笑った。

「あー。目の周り赤いかも」

そんな事言いながら、目を手で押さえる先輩。

「先輩、ご卒業おめでとうございます」

「あ、ありがとうございます・・・？」

「・・・浮気、しないでくださいね？」

「するわけないじゃん！」

「ほんと？」

「ほんと！」

「ふふ、心配性だなーまふくんは」

「だって・・・」

「しないよ。まふくん、一筋だから！」

そう言ってから、先輩の顔はボン！という音が付きそうな感じで顔を赤くした。

「先輩、照れてる。可愛い」

「ちがっ！て、照れてない・・・」

頬が緩んだのが分かった。

「ねぇねぇ、まふくん。私、卒業するし、もうタメ口でいいんじゃないかな？」

嬉しそうにそう問いかける先輩。

ずっと前から、先輩はタメ口で話してほしいって言ってたな。

「そうですね。じゃあ・・・A？」

「っ！な、に？真冬君！」

不意打ちをついたつもりが、逆にやられてしまった。

本当に、可愛い。

思わず、先輩を抱きしめる。


「僕も、A一筋だから」





「真冬くん、顔真っ赤」

「・・・Aも、人の事言えないでしょ」

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