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第74話 ページ34

貴女side

「歌ったー!」

空に向かって、大きな声でそう言った。

「喉、喉が、やばいかもしれない・・・」

隣でまふくん・・・真冬君はそんな事を言っている。

「ごめんね!私の我が儘で・・・」

「いや、全然!・・・楽しかったです」

「それなら、よかったけど・・・」

私が、我が儘を言ったときが何回かあったし。

「帰ろっか」

「はい。あ、送ります」

「ええ!?いいよ!」

ブンブンと手を振る。

「いや、送りますよ。もう暗いですし」

確かに暗い。

でも、真冬君にこれ以上迷惑はかけれんぜよ。

「でも、迷惑でしょ?いいよ・・・」

「迷惑じゃないです。それに・・・先輩に拒否権はないですから」

ニッと笑った真冬君の顔は、悪戯な笑みで。

初めて見た表情にドキドキとした。

「行きますよ」

「えぇ!?ちょ・・・!」

真冬君に手を引っ張られ、歩いた。




「わざわざ、家の前まで・・・ありがとう」

「送るっていったのは、僕ですし、家まで送るのは当然ですよ」

その時、ビュウッと冷たい風が吹いた。

「寒っ」

真冬君が、言った一言にハッとする。

「真冬くん!」

「は、はい!」

「これ、はいッ!」

私は、自分が首に巻いていたマフラーを真冬君の首に巻いた。

「暖かいでしょ?」

「・・・はい。でも、いいんですか?」

「うん。いいの。真冬君に風邪引いてほしくないから。それに・・・」

「?」

「げ、月曜日、真冬君に会いたいからッ・・・って、何言ってんだろ。ごめんね、迷惑だよね。」

アハハと誤魔化すように笑う。

しかし、真冬君の顔は真剣な顔で。

ああ、嫌だったんだ。

誤魔化すことができないくらいに。

そう思うと、後悔が心の中を支配して行った。

苦しい。

私、何やってんだろ。

泣きたくなって、でも、泣き顔を見られたくなくて。

家に入ろうとして、何か最後に声を掛けようとした、その時だった。



「A・・・さん」

「!・・・はい」

声が震えてた気がした。

真冬君の顔からして、きっと大切な事を言うんだろうな。

もしかしたら、私にとって嫌なことかもしれない。

そんなの聞きたくない。

嫌だ。

何も、言わないで。




「真冬く・・・」




「好きです」


真冬君は、私の目をしっかりと見つめて言った。




ドクン

心臓が何処にあるのか、分かったような気がした。

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ちょこ2(パソコン変わりました≪元ID 5ad0b4ef6a≫)) - とてもよかったです!その後話が欲しい! (6月21日 19時) (レス) @page50 id: c7ac99c812 (このIDを非表示/違反報告)
月の人(プロフ) - 風霧志乃さん» コメントありがとうございます!話の軸がしっかりしてるなんて・・・うふっ(殴 応援ありがとうございます!更新、頑張りますね!(キリッ) (2015年9月5日 22時) (レス) id: db3d4350bf (このIDを非表示/違反報告)
風霧志乃(プロフ) - 初めまして!私、この小説大好きですっ!!話の軸がしっかりしていて、よかったですし、話の内容も面白かったです。これからも応援してます。頑張って下さいね〜!! (2015年9月5日 13時) (レス) id: f2bf20d045 (このIDを非表示/違反報告)
月の人(プロフ) - 瑞稀@アニメLOVEさん» コメントありがとうございます!歌詞先輩のところは、私も少しうるうるしながら書きました←噂を流した人物にもう、お気づきなんですね!頑張って隠したつもりでしたけど・・・。全て、お見通しってことですか。くっ・・・!← 更新、頑張ります!! (2015年8月21日 18時) (レス) id: db3d4350bf (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀@アニメLOVE(プロフ) - 続編おめでとうございます!!このストーリーとても好きです!歌詞先輩のところの話で泣きました←噂流したのは○○ちゃんかなって思ってます…!楽しみにしてます!更新頑張ってください!! (2015年8月20日 21時) (レス) id: f15516dc05 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月の人 | 作成日時:2015年8月9日 19時

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