軽音部、ボーカル科 2 【まふまふ】

第67話 ページ27

まふまふside

「どうしよう、天月君」

「うん、どうしよっか」

天月君に訴えかけると、そのまま言葉を返された。

「(人１)先輩、今日も呼び出されたらしいね」

天月君が、思い出したかのように呟く。

「知ってる！そんなの、朝練一緒にしたときに聞いた！」

「なんでそんなに仲良いのに、なかなかくっ付かないのかな・・・」

天月君が、何か呟いた気がするが聞こえなかった。

「うう・・・」

「まふは、いっつもウジウジしてる」

「うっ」

「ウジウジしてたら、誰かに取られるよ？」

「ぐっ」

まふまふ、負けました。心が痛いです。

「・・・まぁ、まふのタイミングで告白すればいいけどね」

「うん。そうする・・・って告白！？」

僕は、そう叫んだ。

そして、ハッとして口を塞ぐ。

ここ、教室だった。

「まふ、うるさい・・・」

「天月君が悪いんでしょ！？」

「え、俺変なこと言った？」

「いえ、別に」

天月君の言った事は、正論だ。

告白しなきゃいけないのは、分かっている。

でも、勇気がない。

「はぁ・・・」

天月君がため息をついた。

「まふ、色々思いすぎなんだよ。・・・一回当たってみればいいじゃん」

「天月君は、気楽すぎると思うけどね。・・・でも、ありがとう」

「うん」

僕はいつも、告白という二文字が心に浮かぶと、マイナス思考になってしまう。

“当たってみる”

その言葉を僕は、心のどこかに置いておくことにした。


次が移動教室だったため、席を立ち廊下を歩く。

「あ、まふくーん！」

遠くで、(人１)先輩の声がして振り返ると、(人１)先輩がこちらに走ってきていた。

「まふくん、移動教室？」

「はい、先輩は？」

「え、え、と・・・。まふくんの姿が見えたので、走って来ただけです」

えへへ。と笑う先輩。

か、可愛い。

思わず、そう口にしてしまいそうになった。

「そう、なんですね。・・・明日も、朝練しますか？」

「まふくんがするならしようかな・・・」

「じゃあ、やりましょう！」

まふくんは、頑張り屋さんだね、と言う先輩を見ながら思う。

違いますよ、先輩。

僕は、先輩と二人きりの時間が欲しいだけなんです。


二人でしばらく雑談をしていると後ろから、天月君の声が聞こえた。

「おーい。もうすぐで、チャイム鳴るよー」

「「え、嘘！？」」

二人で声を合わせて言ったことに笑い合ってから、別れた。

先輩、好きです。

僕はこの一文を言える日が来るのだろうか。

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