じゅうろく 夢主side ページ17
「っふー…今日もよく頑張ったぞ、俺…!」
こぽぽ、と音を立てながらコップに冷たい水を注ぎ一気に喉に流し込む。
今日も今日とて、終業の合図とともに俺は教室から脱兎のごとく駆け出して真っ直ぐに自宅へ帰ってきた。
及川に追いかけられ始めて2週間ぐらいだっただろうか。
タイミング的に影山がなにか吹き込んだんだろう。
あぁ、言うんじゃなかった。
なんて今となってはどうしようも無い後悔を溜息に混ぜて吐き出す。
正直、ここまで早く及川の耳に入るとは思ってなかった。
影山のことだからいつか話してしまうのだろうなとは思っていたけどまさか翌日から追いかけ回されることになるなんて誰が思うか。
あぁ、もう。
体育すら休んでる俺に急な運動はキツすぎる。
「しんどーーーい…」
いっそ及川とちゃんと話して断ってしまえばいいってわかってるのになぁ。
及川が無理強いするようなやつじゃない事はよくわかってるのに、なんで俺は逃げ続けてるんだろう。
しんどいなんて吐いて、何がしたいんだろう。
…なんて、俺がわかんなきゃ及川たちなんてもっと不思議だろうなぁ。
「捕まっちゃおうかな」
捕まって、ちゃんと、無理だって言ってしまおうかな。
そうしたら、あいつはもう俺のために廊下にいる奴らを掻き分けなんてしなくなるんだろう。
引き止める女の子たちに愛想笑いひとつせずに来ることなんて無くなるんだろう。
でも、及川がその言葉を求めて俺の元を尋ねているとは思えない。
何がなんでも、俺とバレーを繋げようとするはずだ。
…けど、けどさ、今の俺にとってはちょっと迷惑…ていうか。
誰もバレーから離れたいとは言ってないんだよ。
コートが見れないことは確かにショックだったけど、観戦できるぐらいには回復したいんだよ。
なのに、お前はそれを待ってはくれない。
…や、そりゃ言ってないんだからわからないかもしれないけどさ。
でもお前のその賢い頭ならちょっと考えりゃわかる事のはず。
だから、お前以外のやつは俺に近寄らないようになってんじゃないの?
岩泉すらも話しかけてこなくなるぐらい、余計なこと言わないように注意を払ってくれてるんだろう?
なのに…なのに、お前は、お前だけは、どれだけ逃げても追いかけてくる。
ねぇ、、ねぇ、及川。
「…お前は俺に、どうしろって言うんだよ…」
280人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆき(プロフ) - 赤憑さん» うわー!ありがとうございます!直しときます!!! (2023年4月28日 17時) (レス) id: 1fa030afc2 (このIDを非表示/違反報告)
赤憑(プロフ) - 面白い作品ですね!ところで…あの...ろく影山sideの話のところの西谷の漢字が西ノ谷になってます💦 (2023年4月28日 13時) (レス) @page7 id: 805737b448 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 天野さん» ずっと!?ありがとうございます!!今度は最後まで書き切りたいと思ってるので気長にお付き合いくださいませ!!! (2023年3月29日 10時) (レス) @page26 id: 1fa030afc2 (このIDを非表示/違反報告)
天野(プロフ) - 更新ずっと待ってました!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!ありがとうございます!!!!!!!!!!!!!! (2023年3月29日 8時) (レス) id: c3ca8d9a5e (このIDを非表示/違反報告)
八雲 - すっごい大好きです頑張って下さい!!!!!!!!!! (2021年8月22日 0時) (レス) id: 34dfb00aa4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆき | 作成日時:2021年5月21日 18時