目の見えない小生の妹

ラッキー、アンラッキー ページ47

「すみません、すみません!!」

またペコペコと頭を下げながら書類の間違えたところを直して、印刷した

毎日これだ

毎日、毎日

そういや、今日早く帰らないとな

先生が来るらしいし

……頑張らないと

無理だと思うけど、うん、残業をできるだけ減らそう

そこからはただひたすら黙々と仕事をした

いつもより効率がいいかは分からない

いつもよりはかどっているかと聞かれるとそうでは無い

頭を下げて、上げて、文字を打って、印刷して、棚に戻して、そればかり

嬉しいことに今日は外回りがなかった

使い物にならいと思われたのかもしれない

それでもこれは相当なラッキーだ

この後はアンラッキーになるのだろうけど

今日は少しだけ早く会社を出れた

電車一本だったが

一二三から連絡をもらうと寂雷先生はそのまま家に泊まるらしい

……もしかして、お酒呑まれたり……？

これがアンラッキーか

仕方が無い

項垂れながら電車を降りて家に向かった

ガチャっとドアを開くと閉めたくなった

何があったんだ？

もう一度ゆっくりとあけ、リビングに足を入れる

「おかえり、独歩ちん」

なんとも重たい空気の一二三

「おかえり、独歩くん」

普通の先生がいた

「ただいまです」

ビクビクしながらそう一声だすと

『おや、帰ってきたんですね』

先生の携帯から声が聞こえた

『どうも、こんばんは。夢野幻太郎です』

……こんなアンラッキーありかよ

敵が何してんだよｯ!!

「なんで先生の携帯知ってるんだ？一二三が項垂れているのは夢野さんのせいか？いや、それは俺のせいだな。だって俺が残業なく定時に会社を出れていればこんなことにはならなかったんだ。俺のせい、俺のせい……」

「独歩くん、そんなに落ち込まないで。ちゃんと話をするよ」

『そうですよ。ちゃんと先生の話聞いて下さい】

……お前が先生って言うなぁぁぁ

この雄叫びは深夜の夜空に響いた

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