忘れられない夏 ページ2
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私の住むこの島は、
高いビルなんてひとつも見当たらない、
ただの平地。
周りには緑が生い茂り、少し歩けば見える海がとても綺麗だ。
私は、この島が嫌いだ。
何もかも、記憶に結び付けられるから。
貴方が隣に居た、あのときの記憶が。
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『 久しぶり、 』
久々に見た彼の髪は、
綺麗な桃色に染まっていた。
この海には似合わないのに。
「 · · · · · · 樹くん、」
ひとつ歳上の彼は、
あの夏の日の夜
私を残して、この島を去っていったはず。
なんでここに居るの?
そんな言葉が出そうになった。
私は貴方を裏切って、
この島に残ったのに。
そんな心の内を無視するかのように、
私の脚は勝手に彼の元へと進んでいた。
ゆっくりと、一歩ずつ。
砂浜を、蹴らないように。
彼の元へとたどり着いた時、
私の目から 涙が零れた。
ウミガメが涙を流しているような、
そんな情景
私は、カメのように泣いて、歩いて、
貴方の事を忘れようとしたのに何故?
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