逢いたいが情、見たいが病。【土方十四郎】

三 ページ4

部屋に眩しい光が差し込み、目が覚める。


そして、毎朝恒例のこの行事。




深く息を吸って、声を出す。




「ただいま午前6時３０分！！

おはよーございまぁぁぁぁぁぁぁぁぁす！！！！」



まぁ、名付けてA目覚ましとでも言おうか。



「おはよ〜Aちゃん」

「朝から元気だね、相変わらず...」

「やっぱりうるせぇ...」


そんなことを言いながら部屋から出てくる彼達は、目を擦ってあくびをしている。
でも一番しんどいのは私なんだから。

「Aちゃん、おはよう」

「近藤さん！おはようございます！」

「そういや、昨夜トシと喋ってたろ」

「あ、あぁあの子...」

「どうだった、無愛想だったろ？」

そう言ってガハハと笑う近藤さん。
つか、怖かったっつの。


「あの子、どこで寝てるんですか？」

「あぁ、あそこだ。布団は用意してるのに何故かいつも座って寝ててなぁ」

近藤さんが指を指した際には地べたに座り、壁にもたれかかって寝る彼。

「喧嘩してボロボロでな、拾ってきてやったんだ」

道理で包帯だらけなわけだ。
絆創膏もいっぱい貼ってあるし、襲われたのかと思ってたけど。なんだ、喧嘩か。
いつの間にか近藤さんは朝ご飯を食べに行っていて、居なくなっていた。

「(折角だし、怖いけど起こしてあげようかな。)｣

いつもならそんなこと思わないけど、何故か急に体が動いた。


「ちょっと」

「...」

「ちょっと！」

「うあぁ!?」


変な声を上げて起きた彼に思わず笑いがこぼれた。

「なんですかそれっ、はははっ！」

「んだよ、笑ってんじゃねえ」

またムスッとした顔でそっぽを向いてしまった。
怒らせたかと思ったけど、頬っぺは少し赤かった。


「(照れてる...)」


可愛いな



少し、彼で遊びたくなった。


「照れてるんですか？」

「なっ！照れてねぇ！」

「図星って顔してますよ？」

「うるせぇなぁ！なんだよ、話でもあんのか」

「...あ、そうそう。朝ご飯を出来ましたよ」

「...食欲がねぇからいらねえ」

「ダメです、食べてください」

「近藤と同じ類か」

「へ？」


案外すんなりとご飯を食べに行ってくれて、少しびっくりした。


なんだ、素直な人。

「今の内にお掃除しなきゃ」

私はまた仕事に取り掛かった。

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