コンプレックス15 ページ17
友也「凄い!!」
北斗「Aにそんな秘めた才能があったとは…でも、1つ気になった事があるんが」
『何ですか?』
北斗さんはアイツをチラッと見てから私に向き直る
北斗「この台本は変態仮面が書いてるんだよな?」
『そうですよ』
北斗「【お兄ちゃん】って単語多くないか?」
何か演劇で欠けてる所を指摘されると思っていたから拍子抜けしてしまった
友也「それ、俺も思いました!」
北斗「何故だ?」
アイツに向かって問う北斗さん
渉「Aにもう一度、兄と呼ばれたかっただけです」
目を伏せて続ける
渉「演劇のセリフでも良かったのです。Aに兄と呼ばれればそれだけで」
思わず私は言ってしまった
『私、アンタの事、一度も【お兄ちゃん】って呼んだことないんだけど!』
友也「じゃあ、なんて呼んでるの?」
今でも呼んでるみたいな言い方やめて欲しいな…。今は兄なんて呼ばないし
北斗「俺も気になるな」
『言いませんよ??アイツに聞けば教えてくれますよ、きっと。別に知られて嫌なわけでは無いので』
そう言うと友也くんと北斗さんはアイツを見る
渉「私の口からは言いませんよ?Aにまた呼んでもらえるチャンスを逃すわけにはいきませんしね」
3人の視線が一気に私に集まる
『絶対、言わない!』
そうは言うものの、3人の好奇の目は治まらない。もう、無駄だと思い、不本意ではあるが言う事にした
『にぃに。にぃにって呼んでた…』
渉「やはりAにはそう呼ばれるのが一番嬉しいです」
いつものテンションではなく落ち着いたトーンで言う。周りの空気も暗く重たくなっていく
友也「あーっ!!!もしかして!」
そんな中、突然大声を上げた友也くん
『どうしたの?』
友也「最後の手を繋ぐシーン!あれって、変態仮面が単にAと手を繋ぎたかったからあの台本にしたんじゃ…」
渉「名推理です、友也くん!その通りです!今となっては、Aは演劇の中でしか口聞いてくれませんから、台本を私が自ら書いてAにして欲しいことをさせてるのです」
北斗「とんだ変態だな」
友也「Aの前でも変態仮面は変態仮面だ!」
こうして、しんみりとした空気から一変し、すっかり元の調子に戻った3人は私の歓迎会をしてくれた
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作者名:M-M-N | 作成日時:2020年3月5日 11時