2話 ページ4
会議室に着くと、英智先輩とあんずが隣同士に座る。その前にわたるんと私が座る。いつもの定位置
あんず｢A、なんで呼び出したのか聞いてもいい？｣
『じ、実は…お父さんの会社が潰れそうで…。それで、えっと…』
渉｢ゆっくりで大丈夫ですよ｣
手を握って励ましてくれるが、どう言えばいいのか分からなくなってしまった
英智｢Aちゃん、無理しなくていいよ。後は僕が引き継がせてもらうね｣
そういうと、英智先輩はことの全てを2人に話した。来週末には顔合わせも兼ねたお見合いも決定してる事も
あんず｢顔合わせの必要あるの？｣
英智｢親間では、僕とAちゃんは『他人』って事になってるからね｣
私達の中に沈黙が走る。誰もが顔から表情が抜けてる。わたるんでさえ、何を考えてるのか分からない顔をしてる
『英智先輩、1つ頼みがあります』
突然口を開いた私に一斉に皆んな顔を向ける
英智｢何かな？｣
『お見合いの時、皆んながいる前で私の事思いっきり振ってください！｢こんな不細工な女、嫁にしたくない｣とでも何とでも言っていいので』
英智｢それは出来ないな。例え演技でも、僕は大切な後輩に、仲間にそんな事言いたくないよ｣
『でも…っ！』
渉｢A、少し落ち着いて下さい｣
思わず机に身を乗り出す私を抑えて宥めるわたるんの声が少し悲しそうに聞こえた
あんず｢英智くん、本当に来週末、Aとお見合いしなきゃいけないの？｣
英智｢うん、不本意だけどね｣
あんず｢イヤ！何とかならないの？｣
英智｢どうにか出来るなら、僕もそうしたいさ。でも、父が決めた事は僕にはどうにもできない｣
英智先輩が言い切るとあんずは泣き出してしまった。英智先輩はそんなあんずを抱き締めると｢ごめん｣とだけ短く言った
私もあんずにつられて泣きそうになる
渉｢我慢しなくていいですよ｣
わたるんの言葉で我慢してた糸がプツンと切れたのか私までも泣いてしまった。わたるんも私を抱き締めてくれる。それに安心してしまったのか泣き疲れたのか分からないが、私は意識を夢の中へと飛ばした
あんずも同様、英智先輩の腕の中で眠っていた事を私は知る由もない
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作者名：M-M-N | 作成日時：2021年6月27日 17時
