パッチワークの恋【影片みか】

幕開け ページ10

翌日。

私は影片くんとの約束通りライブに出かけた。

場所は繁華街にある地下のライブハウス。

初めて行く場所だから早めに家を出たけど、地下のわりには見つけやすかった。

…けど、地下に降りていく階段を見ると、急に緊張してきた。

(なんか暗いしちょっと勇気要るな…)

私が躊躇している間に、二人組の女の子が私の横を通り過ぎ、キャッキャとおしゃべりしながらあっさりその階段を降りて行った。

(あの子たちValkyrieのファンなのかな…)

きっと長い間ライブが開かれるのを楽しみにしていたんだろう。

ワクワク感が隣を通っただけで伝わってくる。

このワクワクを影片くんが作っていると思うと、私もこんなところでビビってられないという気分になる。

肩に掛けたバッグの紐を握りしめると、私は女の子たちの後を追って階段を降りた。



ライブハウスの中に入った後は、スタッフの誘導にただ従っていれば良いだけで済み、内心ホッとする。

会場の中に入ってみて、予想通りだったことと予想が外れたことがそれぞれ一つずつあった。

予想通りだったのは、大勢の女の子。

男女比なんて調べるまでもないって感じだ。

みんな目をキラキラさせて、Valkyrieの登場を今か今かと待っている。

反対に予想外だったのは、椅子が用意されていたこと。

私のライブのイメージが間違ってなければ、こう、みんなが立ち上がってジャンプしてるようなのを想像してたんだけど…

(まあ、ライブにも色々な種類があるんだろうな…。)

とりあえず指定された番号の椅子に座る。

(…そういえば私、影片くんがどんなアイドルでValkyrieがどんなユニットなのか全然知らないな…)

影片くんは「Valkyrieは完璧なんや！」ってよく言ってるけど…。

そわそわと色んなことを考えているうちに、会場は次第に暗くなり開演のブザーが鳴った。

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