やっと渡せた ページ3
たこ焼きを食べるために向かった広場には、最奥の方にカップルらしき人影が一組いるだけで、あとは誰もいなかった。
来た道から手前側のベンチに腰掛けると、さっそく買ったたこ焼きを二人で食べ始めた。
「んああ、美味しいなあ、Aちゃん。」
たこ焼きを頬張った影片くんはニコニコの笑顔を向けて言った。
「うん、たこ焼き屋のおじさん優しくて良かったね。」
私も笑顔で返す。
「おれ今日お昼も食べてないから余計に美味しいわぁ」
「えっ!?なんで?」
「なんでって、Aちゃんの…んああっ!?忘れとった!!」
影片くんは突然大声を出すとカバンをごそごそとやり始めた。
何かを取り出すと、無言で私の目の前に突き出してきた。
「え…これ…」
私が落としたクマのぬいぐるみだ。
身体中に飾りがついていて、可愛くなっている。
「落ちてたのを友達が見つけてくれて、そんで、飾り縫ったりしてたら食べるの忘れて…」
(やっぱり落ちてたんだ…)
「これ、影片くんが全部…?」
「う、うん。どうやろか?」
赤いリボンにカラフルなボタン。
ランダムに配置されているところを見ると、汚れを目立たなくするためのもののようだ。
おまけに右足の裏にはハートマークまである。
とっても可愛くて、影片くんの思いが詰まってるのを感じる。
甘口評価で、150点。
「…ありがとう、影片くん。もう無くさない。大事にするね。」
私はぬいぐるみを受け取ると、ぎゅっと両手で包み込んだ。
「へへ…頑張った甲斐あったわぁ。」
影片くんはベンチの上で体育座りすると、ちょっと頬を赤くして歯を見せて笑った。
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milena(プロフ) - カムイさん» コメありがとうございます!お褒めの言葉嬉しいです!これからも可愛いみかちゃんの話を思いつきましたらこちらに書くつもりですので是非また読んでくださいね。 (2017年7月1日 23時) (レス) id: ec31ce329b (このIDを非表示/違反報告)
カムイ - メチャ面白かったです!みかちゃん可愛かったです〜♪みかちゃんすごい好きなんですけどもっと好きになりました!こんなに素晴らしいお話を考えられるってすごいと思います! (2017年7月1日 11時) (レス) id: 93936313e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:milena | 作成日時:2017年3月16日 20時