アンコール ページ12
(ど、どうしよう…)
私は影片くんとの電話の後繁華街に引き返し、ライブハウスの近くの喫茶店にいた。
影片くんと、…『お師さん』と会うため。
初めて入った喫茶店で「ま、待ち合わせで…あとから二人来ます」と告げると、テーブル席に通されて優しそうなウエイトレスさんにメニューを渡されたけど、受け取る手が緊張のあまり震えているのが分かった。
とりあえずパッと目に入ったカフェオレを注文して、手を膝の上に置いて待つ。
(思い出せ思い出せ…どこで会った人だっけ…)
絶対に見たことあるはずなのに…
どうして影片くんの『お師さん』が私に会いたいなんて言ってるのか分からない。
だからこそ思い出さなきゃいけないのに、必死で考えても全然記憶が辿れない。
絶対に勉強した答えをど忘れしたテスト中みたいな心境だ。
悶々としているうちにカフェオレが運ばれてくる。
(い、一旦落ち着こう…)
一口飲めば思い出すかもしれない、とカップに手を伸ばしたその時。
カランカランとお店のドアが来客の合図を鳴らし、目を向けるとそこには
「あ、Aちゃん!ごめんなぁ待たせて。」
影片くんがいた。
その後ろには背の高いシルエットも見える。
「ぜ……全然待ってないよ…」
笑顔を作るも、自分の顔が引きつるのが分かった。
(後始末があるから時間かかるみたいなこと言ってたじゃん!早くない!?)
「あんまりAちゃんのこと待たせるの悪いと思って急いで来たんよ!」
影片くんの優しさが私にとっては仇となった。
(ああ…怒られるのかな、私…。『お師さん』厳しそうだもんな…)
がっくりと肩を落とす私の向かいにニコニコの影片くんが座る。
その隣に『お師さん』も静かに腰掛けた。
「大好きなAちゃんとお師さんが二人とも近くにいるなんて、何や嬉しいわぁ。」
テーブルの上に両手で頬杖をついて全身からお花が舞ってそうなほど嬉しそうな影片くんを見て、その可愛さに目眩を覚えながらも隣に座る『お師さん』を見る。
あまり見つめていたせいか、『お師さん』と目が合ってしまった。
そらすのも失礼だし、咄嗟にその場で会釈をした。
するとハァ、とため息が聞こえ、『お師さん』が口を開いた。
「まったく、初対面の人間同士を会わせておいて紹介もできないのかね、影片。」
「んえ?でもお師さん、Aちゃんのこと知ってるんやないの?」
「僕じゃない、マドモアゼルだ。」
視線の先には、可愛らしい人形の女の子がいた。
133人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
milena(プロフ) - カムイさん» コメありがとうございます!お褒めの言葉嬉しいです!これからも可愛いみかちゃんの話を思いつきましたらこちらに書くつもりですので是非また読んでくださいね。 (2017年7月1日 23時) (レス) id: ec31ce329b (このIDを非表示/違反報告)
カムイ - メチャ面白かったです!みかちゃん可愛かったです〜♪みかちゃんすごい好きなんですけどもっと好きになりました!こんなに素晴らしいお話を考えられるってすごいと思います! (2017年7月1日 11時) (レス) id: 93936313e3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:milena | 作成日時:2017年3月16日 20時