罰ゲーム

３ ページ3

.



「な〜仁王。俺どうすれば良い？」


あれから1週間。
関東大会を控えたテニス部は、相変わらずハードな練習を毎日こなしている。

そんな中、俺の頭に嫌でもチラつくのはあの時の星野の顔で。
……俺の想像とはかけ離れていたから。


「仁王聞いてるか？」

「……プリッ」


そう言ってラケットを持ち部室から出ていく仁王は、俺に反してどこか楽しそうな顔をしていた。
慌てて追いかけ隣を歩くと、「何じゃ」と分かりやすく顔を顰める。


「どうすれば良いか聞いてるんだよぃ」

「知らん。自分でどうにかせんか」


同じクラス、同じ部活、2つ違いの出席番号。なにかと仁王とは関わる機会があるし、何か助けてくれると思ったんだけどな……


「とにかく、今は大会の事だけ考えんしゃい」

「……まあ、そうだな」


正論を言われ、俺はジャッカルの元へと駆け寄った。流石ダブルスの相棒というだけ、俺の顔を見るなり「悩み事か？」と聞いてくる。
俺は適当に促して練習を始めると同時に、帰りにジャッカルに相談する事を決めた。


「んーじゃあ、行くぜ！……ジャッカルが！」

「俺かよ？！」


もうお決まりとなったそのやりとりをすると、自然とテニスのことばかり考えるようになる……はずなのに。
最近はそんなこと無くて。

「あー……モヤモヤする……」

そうボソッと呟いた言葉は、風にかき消されていった。



.

４→←２

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す