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5話 ページ5

園子「たまたま事故のとき、河辺さんのストラディバリウスは調整に出していて無事だったから、紫音さんが借りて演奏することになったの。で、客席の一番前に座ってるのが……」


『秋庭怜子さんね。ソプラノ歌手の』


園子がいう前に、Aは客席に座ったままの女性の名前を口にした


園子「ハハッ、さすがに知ってるか。彼女、有名人だもんね」


長い黒髪を左横で束ねた美しい女性___秋庭怜子は、険しい表情で楽譜を見つめていた

いつの間にか譜和たちはステージから下りていて、残った堂本は演奏台へと向かった


堂本「じゃあ、紫音。準備しろ。一曲目の《アヴェ・マリア》からだ」


紫音「はい……!」


紫音はステージの中央に立つと、緊張した面持ちで調弦を始めた

すると怜子が立ち上がり、ハァ…とため息をついた


怜子「その様子じゃあ、まだ私と合わせる段階じゃないみたいね」


堂本「ああ、すまんが少し待っていてくれ」


堂本に続いて紫音が「すみません」と頭を下げる


目暮「どうやら急きょ代役となった紫音さんのリハーサルを先にやるみたいだな」


客席の扉の前に立っていた目暮が言うと、高木は目をキラキラと輝かせた


高木「いよいよストラディバリウスが生で聴けますね、佐藤さん!」


すると佐藤の隣に立っていた白鳥が得意げな顔で口を開く


白鳥「私はどちらかというとアマティの方が……」


佐藤「シーッ!ちょっと黙って!」


間に立った佐藤が注意すると、二人はばつが悪そうにステージを見た

やがて調弦を終えた紫音は堂本を振り返って軽くうなずいた

堂本の前奏に続いて、紫音が《アヴェ・マリア》を弾き出す

ストラディバリウスの洗練された絹のような滑らかな音に、蘭や園子、Aたちはうっとりとした

が、コナンと昴だけ、首をかしげる
すると突然、堂本が手を止めた


堂本「ダメだダメだ!全然なってない!この1週間、何やってたんだ!」


紫音「すみません……」


紫音が頭を下げると、客席の園子は「え?」と眉をひそめた


園子「何か変だった?」


蘭「ううん。完璧に聴こえたけど……」


『私も、そう聴こえた……』


蘭とAたちが首をかしげる中、二人は険しい表情で紫音を見つめた


「「(いや、ストラディバリウスにしては音が出てない……)」」


堂本「もう一度、初めから!」


紫音「はい……!」

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ムンムン(プロフ) - 質問いいですか? (2021年1月15日 7時) (レス) id: 7b57897ee4 (このIDを非表示/違反報告)
rin31gakukoko(プロフ) - このシリーズが大好きです!更新頑張ってください!これからも楽しみにしてます (2018年1月29日 9時) (レス) id: 9821ad2672 (このIDを非表示/違反報告)
Sorimachi(プロフ) - アカネさん» 更新頑張ります! (2018年1月21日 19時) (レス) id: cd676a233e (このIDを非表示/違反報告)
アカネ(プロフ) - 赤井さんの想い人シリーズの更新頑張ってください! (2018年1月21日 18時) (レス) id: 717738789b (このIDを非表示/違反報告)
Sorimachi(プロフ) - MAIKAさん» コメントありがとうございます!頑張ります! (2018年1月13日 21時) (レス) id: cd676a233e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Sorimachi | 作成日時:2018年1月13日 20時

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