赤井さんの想い人は工藤新一の双子の姉【戦慄の楽譜】 (ページ12)

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１２話ページ12

突いていたボールをギュ…ッと握りしめたかと思うと、Aの肩がわなわなと怒りで震えだして、園子はギョッとした

蘭は園子の隣で苦笑いを浮かべた

『あんなFBI野郎……!!』

ボールを高くトスしたAは『キェーーーッ!!』と怒りをボールに叩き込む

強烈なサーブは園子と蘭の耳をかすめ、後ろの金網に突き刺さった

ボールが煙を上げながらギュイイン…と高速回転する

園子「嘘……」

蘭「すごすぎでしょ……」

あまりの速さに全く動けなかった園子と蘭の頬に、ひとすじの汗が流れた

コート脇のベンチに園子と蘭と並んで座ったAは、赤井と堂本ホールのコンサートのことで口ゲンカになったと話した

園子「なーんだ。赤井さんと喧嘩したんだ」

蘭「相変わらず、喧嘩は多いのね」

『別に、あいつなんかどーでもいいよ』

Aが頬をふくらませると、園子と蘭はハハッと笑った

園子「でもよくやるね、あんたたち。しょっちゅうケンカしては仲直りして」

蘭「あ、でもあの時は長かったんじゃない？ほら……１週間くらい口聞かなかったって……」

『え？いつのこと？』

園子「ほら、中２になったばかりの……」

園子が言うと、Aは『……あぁ、思い出した！』と顔を上げた

『あの時は……あれ？何でケンカしたんだっけ？』

ケンカした事実は思い出せても、ケンカした理由がどうしても思い出せない

園子「じゃあ、どうやって仲直りしたの？」

蘭「あの時、私達もお手上げだったしね？」

園子「うんうん」

『う～ん……』

Aはあごに手を当てて考えたが……それも思い出せない

園子「どっちも忘れちゃったんかい？」

園子があきれた顔で突っ込むと、

『あ、でも確か……』

Aは仲直りした日のことを思い出していた

＿＿＿あの日は確か、仕事帰りに迎えに来てくれた赤井と一緒に堤無津川沿いを二人で歩いていた

川沿いの桜はすでに散り始めていて、赤井は川の方、私は街の方とお互いにそっぽを向きながら並んで歩いていたっけ……

蘭「ストップ。ストップ。ちょっと待って！」

園子「私も！」

Aの話を聞いていた蘭と園子が横槍を入れた

蘭「何で喧嘩してるのに一緒に帰ってるのよ！」

園子「しかも、仕事帰りの迎えに来てたの？」

『うん……暇がある時はね。それに、恒例になってたようなもんだし……』